ブランドも「一市民」としての行動意識
時計業界では例年の新作発表のピークをコロナが直撃し、バーゼルワールドをはじめとする大規模見本市やイベントの中止が相次いだ。リアルイベントを中止したスイスの時計見本市「ウオッチ&ワンダージュネーブ」が初めてデジタル見本市のプラットホームを立ち上げるなど、情報発信の舞台はデジタルの場に移行。各社はネットで消費者との継続的なコミュニケーションを欠かさない。

ブランド各社は店舗休業中の従業員の雇用対策にも心を砕く。エルメスは3月30日、世界各地の1万5500人の従業員の基本給維持を発表。シャネルはフランスで働く約8500人の従業員の雇用維持を表明し、3月16日から8週間、給料を全額支給することを明らかにした。欧州ではフランスやドイツ、スイスなどで小売店の営業が再開の兆しをみせる。
コロナ禍という今回の有事においては、多くのブランド企業が多額の寄付をしただけでなく、マスク製造といった支援に乗り出していることが特徴的だ。伊ブルガリグループのジャン-クリストフ・ババンCEOは、グローバルに事業展開するラグジュアリーブランドだからこそ、国を超えた大規模な支援ができるのだと話す。寄付行為だけでなく「実際に手を動かし、アクションすること、これこそがブルガリのCSR(社会的責任)。今回のような厳しい状況下で、企業が一市民としてどのような行動を取ったのか、という観点からも消費者はブランドの価値を判断し、商品を買い求めることになる」と考えている。
(Men's Fashion編集長 松本和佳)

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