たとえばフランチャイズチェーンの相談対応部署であれば、各フランチャイジーからの相談に対しての回答の迅速さと満足度の確保が成果となります。そのための役割は、電話やメールを通じた相談内容への真摯かつ間違いのない回答をすることです。そしてそのやりとりについて、リモートであったとしてもメンバー内で共有し、組織知化することです。

このような成果と役割が明確になっていれば、上司は監視のようなことをしなくても、フランチャイジーからのアンケート結果や部署内の情報共有状況を確認することで、メンバーがしっかりとした行動をとっていることがわかります。

会社や上司を非難するだけでは何も変わらない

一方で部下側としての従業員はどのように対応すべきでしょう。

信頼感が低下しているのは「上司が部下としっかりコミュニケーションをとらないことが原因だ」とか「上司が部下を信用しないから悪い」と非難することは簡単です。

けれども上司にとっても、さらにその上にいる経営層にとっても、今の状況は前例がない恐怖と不安を感じている状況です。そんなときに部下側から一方的に非難されてしまったら、感情的な否定が連鎖してしまう可能性もあります。従業員側としても、信頼感、という観点から上司や会社側と接することが必要になっているのです。

成果や役割の期待がはっきりしていなかったとしても、自分からそのことについて質問したり、整理して問いかけてみたりする方法があります。

「リモートワーク期間中の私の役割は、自分に割り振られる案件を確実に遂行することですよね。その進捗については少なくとも1日に数回報告するようにしますが、それでいいでしょうか」

とプロセス部分についての確認をすることができるはずです。

あるいは

「お客様が不安に思うことのないように、他の作業で忙しいタイミングでも、まずは最初の返信を5分以内に行います。そうすればつながっているという安心感を提供できると思います」

と伝えてみることもできます。

今は未曽有の災害の中で、みんなが混乱し戸惑っている状況です。不満や不安も頻出することでしょう。

けれどもそんな中でも前向きに活躍するために、一人一人にできることがあります。評価される基準に基づき考えてみることはそのための一助になるはずです。

なぜなら、人事評価基準というのは、最後に〇×をつけるためのものではないからです。組織が達成したい理念や目標を、組織を構成する一人一人が共有し、そのために行動する指針とするものなのです。

平康慶浩
セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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