根拠のない恐怖に惑わない 最新刊で知るコロナの実体

本書の特徴は、感染経路を分類の軸にしている点だ。「空気感染症」「水系感染症」「動物由来感染症」「ヒトからヒトへの感染症」の4つに分けて、疾病ごとのデータを百科事典形式で解説している。インフルエンザは主に呼吸器から感染し、物体や表面に付着したウイルスに触れることを介して感染する場合もある。麻疹や結核もこのタイプに入る。一方、コレラや赤痢、腸チフスなどの「水系感染症」は汚染された飲料水や食物の摂取でうつる。ビジュアル化されたページをめくると、人類が「見えざる敵」を相手に知恵と勇気で闘ってきた軌跡が見えてくる。

新型コロナへの対応をめぐっては、世界保健機関(WHO)の動きに対する批判が出ている。詫摩佳代著『人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差』(中公新書・2020年4月)を読むと、感染症を押さえ込むために20世紀の国際協力体制がどのように機能してきたのかがよくわかる。ペストやコレラの被害を教訓に、国際社会は天然痘を根絶してポリオを押さえ込むことに成功した。一方でマラリアのまん延は今も続いている。エボラ出血熱、エイズなど新しい感染症も次々と人類を襲っている。

第3章には、米中の対立がウイルス封じ込めに必要な国際連携を妨げている現状が書かれている。「そもそも信頼関係が醸成されていない国家間では、感染症への対応をめぐっても互いの不信感が反映され、共に闘うことすら、叶わないことも多い」と著者は指摘する。グローバル化が進んだ今、外国での感染対策の失敗が日本で暮らす市民の安全に直結する。日本で感染爆発が起きてしまえば、逆に世界をリスクにさらす。国際政治情勢の変化が、市民の健康とコミュニティの安全に大きく影響することを本書は教えてくれる。

テレワークで使えるアプリは

働き方の大きな変化に対応するノウハウを扱う書籍も、数多く書店に並ぶようになった。4月下旬に丸善丸の内本店(東京・千代田)を訪ねたところ、正面入り口にはテレワークや危機管理を扱う書籍が数多く陳列してあった。亀井利明著『リスクマネジメントの本質』(同文舘出版)、今泉千明・中島康之著『テレワーク導入・実践ガイド』(第一法規)、澤口実・近澤諒・本井豊著『バーチャル株主総会の実務』(商事法務)などが目立つ場所に置かれていた。

『「明日からSlackを使って」と言われたら読む本』

その中で、テレワークやオンライン授業などに不慣れなビジネスパーソン・学生に役立つ一冊が向井領治著『「明日からSlackを使って」と言われたら読む本』(ラトルズ・2020年3月)だ。数多くの非対面型のコミュニケーションツールの中でも使いやすいと評判のSlackは、連携可能なアプリやサービスが1500種類以上あるとされる。Zoom(ズーム)やSkype(スカイプ)などのテレビ会議システムなどの利用もできる。

すでにSlackをダウンロードしているビジネスパーソンでも、チャット機能しか使ったことがないという人がいるだろう。このプラットフォームは、ファイルやアプリの「共有」を通してチームでプロジェクトを進める時に威力を発揮する。そのためのベースとなる場所が「ワークスペース」だ。特定のメンバーに参加してもらい、お互いにコミュニケーションを取りながら仕事を進めていく。本書はまず自分自身が運営者(ワークスペースのオーナー)となるところから説明をはじめる。順を追って、チームメンバーとのコミュニケーション機能を学び、ファイルや文書の共有ができることを目指す。実際のアプリの画面をたっぷり掲載していることに加え、チャートやイラストをふんだんに使っているので独習に適する。Slackには有料サービスもあるが、本書の記載内容は無料サービスでできることに特化している。

(若杉敏也)

新型コロナウイルスの真実 (ベスト新書)

著者 : 岩田 健太郎
出版 : ベストセラーズ
価格 : 990円 (税込み)

ビジュアル パンデミック・マップ 伝染病の起源・拡大・根絶の歴史

著者 : サンドラ・ヘンペル
出版 : 日経ナショナルジオグラフィック社
価格 : 2,860円 (税込み)

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