「今でしょ」生んだコピーライター 伝わる言葉考える青山ブックセンター本店

ビジネス書コーナーの一角に設置した特設の平台に、著者の選んだ本とともに展示する(青山ブックセンター本店)
ビジネス書コーナーの一角に設置した特設の平台に、著者の選んだ本とともに展示する(青山ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は2~3カ月に一度訪れている準定点観測書店の青山ブックセンター本店に3月に続いて訪れた。来店客は少なく、3月半ばまでは好調を維持していたビジネス書の売り上げもさすがに振るわない状況になっている。そんな中、書店員が注目するのは、売れっ子コピーライターが自身の経験をもとに「心をつかむ言葉」のつくり方を説いた一冊だった。

人生を大きく変える言葉術

その本は阿部広太郎『心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)。著者の阿部氏は「今でしょ」の一言が話題になった東進ハイスクールのCM制作に携わった電通のコピーライター。「言葉の企画」が自らの仕事と位置づけ、CM制作のみならず映画のプロデュースや作詞などへと活動のジャンルを広げている。その著者が「『伝える』と『伝わる』の境界で、僕が10年以上の月日をかけてあがきもがいてつかんできた」ことを一冊の本に書きつけた内容だ。

言葉術というタイトルから広告コピーの書き方の本かと思うと、中身はそれほど単純ではない。なにしろ表題の前に「コピーライターじゃなくても知っておきたい」という副題がつく。「はじめに」の中で著者は、コピーライターになりたい人だけに向けた本ではなく、「この本に綴る『言葉術』を知ることで、人生は大きく変わっていく」とまで言うのだ。

話は自己紹介の仕方から始まる。「あなたの自己紹介を伝わるように1枚にまとめてください」、そして「伝わりました総選挙を行います」。この2つは著者自身が講師を務める言葉の力を育む連続講座の初回の課題だという。そこから「伝わる」って何だろう、自分なりの定義、「マイ定義」を考えたいと話が進んでいく。

著者によれば、自己紹介の目的は興味の入り口をつくることだという。これを入り口に「あなたと言葉の世界」に入っていきたいと読者をいざなう。続いて語られるのは「言葉とは」をめぐる思考。その思考は続く章で「企画とは」へとつながっていく。言葉について深く考えながら、その先の世界、企画の持つ面白みへとさらに読者を誘っていくのだ。

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