ヘアスタイルのセットはいつもよりラフでいいと思いますが、前髪だけはきりっと上げておくのがおすすめです。そのほうがジャケットスタイルに合います。そうそう、ヒゲの手入れの悪さは対面で見られるよりモニター越しのほうがより目立つ、という多くの、特に女性の証言があります。気合を入れて手入れしてください。

そして、メンタル面でよりおすすめしたいのが「香り」です。自分にコロンなどの香りをプラスしましょう。仕事でつける香りであれば、良い緊張感をもたらしますし、休日用の香りなら質のよいリラックス感を与えてくれます。

姿勢 「アゴが出る」「猫背」に注意

テレワークというか、自宅でパソコンに向き合う時間が多い日々は、人の外見の印象にけっこう悪影響を与えるものです。特に姿勢は本当に悪くなります。知らず知らずのうちに首が前に出て、アゴを突き出すような状態や猫背になりがちです。モニターに映る顔が身体に比べてやけに大きい、という印象にもなります。また、一方方向に足を組むクセがあると、身体がゆがみます。こうなると、本当に見た目で損をします。

その姿勢、人目があってもしますか?(写真はイメージ)=PIXTA

話し方のポイント 声は低め・ゆっくりめ

ビデオ通話では多くの人が「声」を気にします。電話などもそうですが、機械を通すとやや高めに聞こえる傾向があります。そこで、心もち低めの声を出すようにすると、落ち着いた印象の声に聞こえやすくなるでしょう。少しスピードを落とすことも合わせておすすめします。

テレワークの通信状態では時には会話にタイムラグがあったり、音声がとぎれとぎれになったりと、小さなトラブルもあります。対面の会話や会議では雰囲気や感覚で察知できることでも、オンラインでは難しくなり、通常のペース通りにはコミュニケーションできません。相手にちゃんと伝わるようお互いが配慮し合うことが必要です。ややゆっくり目にはっきりと話す、内容が伝わったか聞こえているかをさりげなく確認できる、そんな人は際立ちます。

「背景」のこと パーティションも効果

さて、自宅でビデオ会議に出る時にまず「背景」に困った、という話はよくありますね。ただ、背景画像などを使えるサービスもあるので、それが使える場合は、色々な画像を気分で変えて楽しんでいる人もいます。話のタネにもなるのでいいですね。

ただし、服装のことに気を使うのに、背景に気を使っていない、というケースもあるようで「模様がうるさすぎて、話が入ってこない」「仕事にふさわしくないデザイン」「色が強くて、顔色が変に見えた」など文句の数も増えてきているようです。

私も色々試してみましたが、一枚の写真や絵としては良い感じなのに、背景にするとうるさい印象になるものが思ったより多いと感じました。背景で楽しむのは仲間内なら構わないと思いますが、やはり仕事の場合に優先すべきは仕事らしい雰囲気であったり、相手からみたときの心地よさであったりするでしょう。せっかく服装に気を使おうと言うなら、服装とのバランスも気になるところですね。

そうなると、複雑な模様や派手な色味ではない、目立たず使いやすい背景を一つ用意しておくのをおすすめします。白っぽい背景はネイビーやダークグレー、黒などのジャケットが映えるので定番としていいですが、黒っぽい背景は、ライトベージュなどの薄い色の服、白い服が映えます。

背景画像が使えないビデオ会議システムの場合は、市販のパーティションや間仕切りカーテンなどを使っている人の話を聞きます。自宅だと生活感が出過ぎていやだと思いパーティションで見えるものを隠そうと購入したら、空間を分断したことで、仕事モードに入りやすくなった、と喜んでいた人もいました。

いかがでしょうか。次回はモニターに映る顔の表情をいかに効果的にみせるか、ライティングの工夫などを考えてみたいと思います。

丸山ゆ利絵
 ホテル西洋銀座やアークヒルズクラブなどを経て2010年、経営者などに「ふさわしい存在感」の演出方法を助言するコンサルティング会社、アテインメンツ(大阪市)を設立、代表に就任。15年、ビジネスマンに正しいスーツの着方を指南する「スーツ塾」を開講。 著書に「『一流の存在感』がある人の振る舞いのルール」(日本実業出版社)など。

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