家ごもりでストレス増大 産業医がやわらげ方を助言産業医・精神科専門医 植田尚樹氏

画像はイメージ=PIXTA
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社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発令で、外出の自粛を求められた多くの人たちが、これまでとは異なる毎日をおくっています。不自由さがストレスの原因となりますから、今まで以上にメンタルヘルスケアに注意を払いたいところです。外出自粛は働く人たちにどのような影響をもたらしているのでしょうか。産業医としても気になるところです。面談で聞いた幾つかの事例を紹介します。

IT企業に勤める20歳代男性の事例です。

憂うつな気分や強い不安感を訴えることから適応障害と診断され、1年近く休職していますが、外出自粛で一段と気分が落ち込むと話します。一人暮らしなのですが、両親が高齢なため、もしウイルスを持っていて感染させたらと考えると、実家にも帰りづらいと話していました。知人にも会いづらく、いい気がせず、不安で落ち着かないと訴えていました。

一人暮らしで「人と会って話ができなくて寂しい」ということであれば、知人とのチャットやビデオ通話などで気を紛らわすのもいいでしょう。メンタル面で何らかの症状を持つ人が、外出を控えて自宅にこもると、心理的な負荷の高まりが懸念されます。周囲とコミュニケーションをとるように意識して、塞ぎ込まないように心がけることも大切です。

また、アルコール依存の傾向がある人は、孤独感と将来への不安から、気持ちのはけ口がアルコールに向かいやすくなってしまいます。在宅勤務では特に注意が必要です。

在宅勤務で気づかずにいた家族の一面が見えてくる

別のIT企業に勤める30歳代男性の事例です。

上司や同僚との対人関係からストレスをつのらせ、不安やイライラ、不眠を覚えるようになり適応障害と診断されました。休職を促しましたが拒否。新型コロナもあり、在宅勤務をしています。外出自粛で体がなまり、気分も塞ぎ込みがちだといいます。そのため仕事を終えた後、自宅近くを散歩するようにしているそうです。妻も在宅勤務だが、忙しく子供を世話しているのを見ると、これまでさして協力もできずにいて、申し訳ないと感じると話していました。

自宅ですごす時間が長くなり、家族との接触が増えると、これまで気づかずにいた一面が見えてくることがあります。事例の男性の場合、妻の負担に気づき、思いやるというよい方向の結果となりましたが、反対に気持ちが悪い方向に向く場合もあります。

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