テレワークにも応用できる スピード仕事術のノウハウ八重洲ブックセンター本店

説得力ある体験談

自身の体験談を織り交ぜた語り口が本書の読みどころだ。例えば、ポモドーロ・テクニックという時間術を紹介するくだり。世界的に広まっている「タスクを25分続けたら5分休憩する」という仕事に集中する時間術で、一人で仕事をするときにはとても有効だったとの自身の体験が語られる。昨今のテレワーク状況に取り入れたくなる小技だが、日本のオフィスで実行する場合は5分の休憩を見とがめられたり、25分の間に同僚から声をかけられたりしてうまくいかないという。これもまた体験談で、その場合「14分間仕事に集中し、1分間休憩する」とアレンジすると効果的と自身で加えた改良点も付け加える。こうした細かい目配りが本書の説得力を増している。

受験参考書のように2色刷りで、強調したいポイントは赤い印字や赤の傍線で示され、要点がつかみやすい編集も読者をひき付けているようだ。「年度替わりの時期ということなのか、店頭でよく売れている」とビジネス書を担当する川原敏治さんは話す。ふだんどおりに仕事をするのが難しいこのタイミングで、仕事の仕方自体を見直してみるのにちょうどいい本なのかもしれない。

定番やロングセラーが上位に

それでは、先週のランキングを紹介する。今回はベストテンを掲げる。

(1)M&A思考が日本を強くする渡部恒郎著(東洋経済新報社)
(2)産後ケア完全理解読本福島富士子監修(財界研究所)
(3)シニア投資西崎努著(アスコム)
(4)入社1年目の教科書岩瀬大輔著(ダイヤモンド社)
(5)都市5.0 アーバン・デジタルトランスフォーメーションが日本を再興する葉村真樹編(翔泳社)
(6)FACTFULNESSH・ロスリングほか著(日経BP)
(7)サラリーマンはラクをしろ! 掟破りのhorishin流不動産投資術horishin著(ぱる出版)
(8)みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史日経コンピュータほか著(日経BP)
(9)「新型コロナ恐慌」後の世界渡辺哲也著(徳間書店)
(10)仕事が速い人は、「これ」しかやらない石川和男著(PHP研究所)

(八重洲ブックセンター本店、2020年4月5~11日)

店頭の実売でトップだったのは、4位の『入社1年目の教科書』。新入社員向けの仕事指南の定番の一冊だ。これに続くのが6位の『FACTFULNESS』、8位の『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』で、来店客が少ない中、息の長い売れ筋が浮上している印象だ。今回紹介した仕事術の本は10位だった。

(水柿武志)

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