ラドンナ「トフィー卓上こんろ」 ひと味違う昭和家電
今回の目利き 戸井田園子氏
デザイン家電や雑貨を手掛けるラドンナ(東京・江東)の「トフィー」ブランドから、クラシックラインのラインアップとして「卓上電気こんろ・K-SV1」が発売された。価格は4400円。
電気こんろは、昔からあり、50代の筆者にとっては、子供のころに食卓にあった懐かしい家電だ。素焼きの板に溝があり、そこにコイル状の電熱線(ニクロム線)が一筆書きのように円状に配されている。この電熱線に電気を通すことで発熱し加熱する。その仕組みは今も変わらず特に革新的な進化はない。技術的に古い昭和家電だが、若い世代に見せるとウケが良い。
その理由は、レトロなデザインだ。上の世代には「懐かしい」デザインが、若い世代には「新しい」と感じるのだろう。その世代間ギャップを生かし、色展開もかわいらしくするなど、若い世代に関心を持たれるデザインに仕上げている。
デザインだけでなく、使い勝手も良い。出力の切り替えはハイが800ワット、ロー(外側)・同(内側)ともに400ワットの3パターン。五徳があり、電熱線からの高さが2段階に変更可能。出力と電熱線からの距離の組み合わせで、火力の調整ができる。ヒーターの熱で直接加熱するため、調理器具を選ばないのも利点だ。
ホットプレートのように専用プレート限定ではなく、IHヒーターと違い、土鍋やアルミ、ガラスの鍋などどんな素材の調理器具でも使え、手もちの調理器具が活用できる。焼き網を使えば、パンも餅も焼ける。例えば、トーストなら1分程度で焼け、そのままお湯も沸かせる。アルミ箔素材の器に入った出来合いの鍋も直接加熱できる。このように、卓上に熱源がある生活は思った以上に快適だ。
ラドンナは事務機器でおなじみのキングジムグループの一員。キングジムが運営するアンテナショップ「トフィー自由が丘」は、製品を体験することができる。デザインを向上すると出したままにできるため、使用頻度は上がる。古い家電の持ち味を生かし、現代によみがえらせる「トフィー」クラシックの今後の展開に期待したい。
(家電コーディネーター)
[日経産業新聞2020年4月16日付]
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