新型コロナウイルス感染拡大を抑止する策として、テレワークが一躍脚光を浴びている。本格的に導入できる企業はまだ限られるが、今回、初めて体験する人も多いはずだ。慣れていない人は「自宅だからリラックスした格好で仕事できる」と考えがちだが、さにあらず。実際にはテレビ会議で他人の目にさらされ、日常着だと仕事する気分に切り替えられないという人もいる。デジタル画面でもきちんと見えるカジュアルウエア「デジカジ」のコツ、テレワークを上手に使いこなす視覚分野での心得などについて、その道のプロに聞いてみた。
テレビ会議、何を着れば…
都内の証券会社に勤務する男性(37)は緊急事態宣言が出て以降、自宅でテレワークの日々を過ごす。出社していた時は毎日スーツ姿でよかったが、顔合わせはテレビ会議で、となると、どんな服装がいいのかちょっと戸惑ってしまった。とりあえずは「部屋着の延長に見えないように」ドレスシャツにノーネクタイ、ボトムスは楽なスエットを定番としてみた。
いざ自分がテレビ会議に参加してみると、さまざまな発見があった。パソコン画面上で顔を合わせる参加者の服装はバラバラ。それも当然といえるが、さすがにTシャツ姿の部下には「リラックスしすぎてだらしない」と感じた。一方、ネクタイを締めた同僚にも「違和感がありました」。画面上では当初思っていたよりも相手との距離が近く感じられ、「伸びたひげが目に付いた」。以降、ひげや髪形にはいつも以上に気を使うようになったという。
家電メーカー勤めの男性(30代)はテレワークではフード付きパーカー、Tシャツなど「襟のないトップス」は着ない主義だ。その理由は「仕事モードに切り替えられないから」。やはり外で仕事する時に着ない服はテレワークでも着ない、という自分なりの一線を引いているのだという。
テレビ会議では、この一線がより重みを増す。「パソコン画面で初めて顔を合わせる人もいます。モニター上では、実際に相対する以上に見た目の印象が強くなる気がするので、私は襟が付いたシャツしか着ません」。テレビ会議終了後、すぐに外で人と会うことも多いので、部屋着の延長のようなパンツは避けている。

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