2020/4/16

「背景」「アバター」で遊び心

テレワークになじむうえでは、服装以外でも「視覚」の工夫が大事になる。しばらく前からテレワークを補完的に導入し、2020年3月には全業務をテレワークに切り替えた動画スタートアップViibarに、その心得を聞いてみた。同社は月末に全社員70~80人が集まって事業の進捗を共有する、「〆(しめ)会」と呼ばれる会合もリモート開催に切り替えた。

Viibarの「〆会」のテレビ会議。背景に凝る人が多く眺めるだけでも楽しい。左から2列目、上から4番目が上坂優太さん

最高経営責任者(CEO)の上坂優太さんが気をつけているのは、1日5分でも社員の表情を見ることができるよう、必ずミーティングを挟むこと。テレワークはフェーストゥーフェースに比べて文脈がわかりずらかったり、感情が共有できなかったりすることがある。顔を見ることによって「精神的に孤独になりがちな社員をケアします」。ミーティングも表情を見ながらのほうが生産性が上がると語る。

一日中テレビ会議をしていることも多いという上坂さんは、自宅で業務する際は着替えて仕事モードに切り替えるほか、和める自然風景のような背景画像を作成してはめ込むなど、遊び心も交えながら画面の見え方に気を配る。とりわけ「光の具合は気にしたほうがいい」と話す。

完全テレワークへの移行から1カ月。思った以上に集中できると話す社員は多いが、一日中出歩かず、精神的な疲れが出始めていると上坂さんは言う。気分転換に散歩を挟む、ランチを作るといったモードの切り替えは生産性の維持に必要なようだ。

よりテレワークになじむよう、最近は社員自らアイデアを出し合うようになった。「だれかが見てくれていないと仕事ができない」という社員のために、会議をつなぎっぱなしにしてオフィスに近い環境を作るグループも現れた。

最近増えてきたのは、気心の知れた仲間との会議で、アバターを使うケースだ。自ら好きな動物やキャラクターに変身して、着せ替えを楽しむ。「こうしたエンタメ的な要素が今後、盛り上がりそうな気がします。もしかしたらテレビ会議ならではの新しいファッションが生まれるかも」と上坂さん。新しい仕事の環境が、新しい流儀を生み出すのかもしれない。

(Men's Fashion編集長 松本和佳)

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