芸能人のような女性と結婚したい作家、石田衣良さん

作家。東京都生まれ。2003年「4TEENフォーティーン」で直木賞。動画サイト「ニコニコ動画」、「ユーチューブ」で『大人の放課後ラジオ』を配信中。(https://j.mp/ncotoraji  https://j.mp/otoraji)。

テレビで芸能人やモデルさんを見るたびに、「自分はこうした女性とはいくら努力しても結婚できない」と思い、惨めな気持ちになります。こんな浮ついたことに悩んでいるせいか、この25年間、一度も女性とお付き合いしたことがありません。理想と現実のはざまでもだえ苦しんでいます。どうすればこの苦しみから解放されるでしょうか。(長野県・20代・男性)

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ごはんを毎日きちんと食べて、会社や学校に通っているリアルな女性と、一度でもデートをすれば一発で解決しそうなお悩みですね。真剣に相手にするのは、このコーナーくらいのものかもしれません。はっきり言いますが、あなたのケースは未経験ゆえの未成熟な悩みです。

自分のイメージのなかの「美しい人」と現実の女性は、まったく異なる。それに気づくだけで、あなたの世界は180度変わるのですが、残念ながら自分のイメージを強引に女性に当てはめ続け、孤独に人生を閉じる男性も決して珍しくありません。中年童貞も生涯未婚男性も、現代社会ではありふれたものです。

あなたは今、自分を変えるか否かの最後のチャンスを迎えています。真剣に自分の思い込みや偏見から抜けだす努力をしてください。かかっている心の病は、それほど恐ろしいもので、三十歳になってからではもう手遅れです。

ところであなたは「イケメン」ですか? 顔しか見ることなく、男は顔だ、イケメン以外は存在価値がないという軽薄な女性には、どんな気持ちを覚えますか。美しい顔以外異性には価値がないという考えは、あなたも彼女たちも基本的には同じです。

そろそろ顔立ちの美しさ以外の深く豊かな人間の魅力を発見する力を育てよう。他の人たちはとっくの昔にその当たり前を始めて、リアルな恋人をつくっていますよ。

優しさや思いやり、勇敢さや共感性の高さ、自然や芸術への感受性、ユーモアやぴりっと舌を刺す皮肉、香るセクシーさとエロスに対する繊細な想像力、胸を打つ自己犠牲、困難なときも自らを気高く支える威厳。

あなたが目もとめなかった平均的な容姿のすべての女性のなかに、今ぼくが挙げた魅力は普通に見つかるものです。顔に目がくらみ、一度も探してこなかっただけ。

そろそろひとりぼっちの部屋から外に出てください。勇気を奮えば、現実の女性ももてる魅力のすべてをもって応えてくれますよ。二十五歳は大人になるには、いい時期。ひとりの女性という空前絶後の魅力と謎を、人生をかけて味わい尽くしてください。


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