感染症のプロ語る リスクコミュニケーションのイロハリブロ汐留シオサイト店

メインの平台の上のベストセラーコーナーに展示する(リブロ汐留シオサイト店)
メインの平台の上のベストセラーコーナーに展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。訪れたのは緊急事態宣言が出る数時間前。来店客は2、3人というところだった。在宅勤務の広がりで本の動きは鈍い。そんな中、新書の売り上げでトップに立ったのは、緊急重版された感染症専門医によるリスクコミュニケーションの入門書だった。

ユーチューブ動画で注目の専門医

その本は岩田健太郎『「感染症パニック」を防げ!』(光文社新書)。副題に「リスク・コミュニケーション入門」とある。著者の岩田氏は「ダイヤモンド・プリンセス」号に災害派遣医療チーム(DMAT)の一員として乗り込み、動画投稿サイト「ユーチューブ」で「安全と安全ではないところの区別ができていない」と話し、船内の感染対策が不十分である可能性を指摘した感染症専門医だ。

その岩田氏が2014年、エボラ出血熱の流行を受けて執筆したのがこの本で、このほど5刷として緊急重版され、これに多くの読者が反応した。「重版が入荷してすぐに売れ始めた」と店舗リーダーの河又美予さんは話す。

副題の通り、リスクコミュニケーションとはどうあるべきかを考察した内容だ。岩田氏は言う。「まだまだ、日本では効果的な(すなわち役に立って結果が出る)リスク・コミュニケーションは普及、定着していない」。新型コロナウイルスの感染拡大に直面する今になっても、5年あまり前のこの言葉が重く響く。

リスクに対してはパニックになってもいけないし、逆に不感症になってもいけない。どういう伝え方をすれば正しく恐れるという適切な行動に聞き手を促せるのか。その論点に向かって著者はリスクコミュニケーションの定義から始まって、コミュニケーションの前提となるリスク評価とリスクマネジメントのあり方、効果的なコミュニケーションのための留意点、聞き手を動かす伝え方、コミュニケーションを阻む障壁など、多角的に考察を進めていく。

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