JO1初出演で大反響 ワイモバイルのCM好感度急上昇
2020年2月度 CM好感度月間ランキング
CM総合研究所が発表する2月度の銘柄別CM好感度ランキングで、ソフトバンク「ワイモバイル」が3位にランクイン。主に放送された「親子de学園祭」編は幅広い層から支持を集めた。一方、ボーイズグループのJO1(ジェイオーワン)がCM初出演した「BIG Y!」編は、調査期間中のオンエアが3回にもかかわらず、若い女性から圧倒的な支持を得た。ターゲットにあわせた作品を展開して、高い評価を獲得した。
「親子de学園祭」編は1月25日から全国で放送開始。吉岡里帆と横浜流星に加え、前作の「親子deダンス」編にも登場した桑田真澄、Matt、そして人気アニメ『クレヨンしんちゃん』から"しんちゃん"こと野原しんのすけと野原ひろし・みさえ親子が登場。ワイモバ学園の「学園祭」を舞台に、親子でお得に使える「ワイモバ学割」を訴求する。
CMでは教師役の吉岡と生徒役の横浜が「親子de学園祭!」とポーズを決めると、"ふてニャン""子ふてニャン"がお化け屋敷の呼び込みをしたり、ドラキュラにふんした横浜が大勢の女子生徒に囲まれたり、Mattが写真館の模擬店を出店し、横浜や吉岡らと撮った写真に加工を施して"Matt化"したりする様子が映り、最後は、野原一家や桑田真澄・Matt親子ら大勢の親子がワイモバダンスを踊る。
見どころは、横浜、吉岡、しんちゃんらがMatt化される映像。ソフトバンクのコンシューマ事業統括プロダクト&マーケティング統括コミュニケーション本部アライド統括部Y!mobileコミュニケーション部部長の長谷川怜平氏によると、「それぞれMatt化に挑戦していただいていますが、実際にMattさんの手でMatt化を施していただいています」。反響はCMを超えて広がった。「CMの世界観を視聴者の方々にも疑似体験していただけるよう、人気のARカメラアプリ『SNOW(スノー)』とタイアップし、Matt化スタンプを配信(現在は公開終了)しました。ここ数年のSNOWの企業タイアップのスタンプの中で利用者数が最も高かったと聞いています」(長谷川氏)
調査モニターからも「写真を撮ると、みんなMatt化している」「面白い」「衝撃的」といったコメントが多数寄せられた。桑田とMattの親子共演も「人生観の違いを超えて向き合っている」「目が離せない」「つい見てしまう」と印象に強く残ったようだ。多彩な顔ぶれのキャストが集合したとあって、CM好感要因は「出演者・キャラクター」が1位で、「音楽・サウンド」「ユーモラス」「ストーリー展開」と続く。小中高生の支持を伸ばしたほか、主婦層など幅広い層から支持を集めた。
2月2日からはJO1が出演する「BIG Y!」編も放送。JO1は、19年12月11日に放送されたオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』で、視聴者である"国民プロデューサー"によって101人の練習生の中から選ばれた11人のグループ。3月4日のCDデビュー前に、異例のCM初出演を果たした。
長谷川氏はJO1を起用した理由をこう語る。「弊社がメインスポンサーを務めていた日本最大級のオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』から生まれたグローバルボーイズグループJO1の鮮烈なデビューをサポートすべく、今回の起用に至りました。また、ワイモバイルの学割というサービスと、彼らの持つ若者ならではの勢いに親和性の高さを感じ、出演を依頼させていただきました」
CMでは、JO1のメンバー11人が「♪学割はワイモバイル」と『Y.M.C.A.』の替え歌にあわせて、Yの字を模したポーズやフリースタイルなど、いろんなダンスを披露。ふてにゃんが「誰だ? 誰だ?」とつぶやく場面も。メンバーの様々な表情が映りつつ、学生エキストラの中、11人は動きのそろった激しいダンスを踊りまくる。最後は「若いって、サイコー!」の文字が画面にかぶる。
JO1の主なファンは若い女性。1月21日にCM出演が発表された直後から、ツイッターで「#JO1ワイモバ学割」が日本のトレンド1位になるなど、SNSを中心にファンから大きな反響があった。これを受けて、ワイモバイルでは急きょCMのロングバージョンを制作し、ワイモバイル公式YouTubeで公開。また、ウェブではメンバー11人それぞれに密着したメイキング映像を公開するなど、多面的な展開を実施した。
JO1の人気について長谷川氏は、「圧巻のダンスパフォーマンスはもちろんのこと、オーディション番組を通して彼らのシンデレラストーリーをファンの方々が見守り続けてきたということがデビュー前から大きな人気を集める理由だと考えます」と分析。「彼らにとって初めてのテレビCM出演ということもあり、今後間違いなく大きな旋風を巻き起こすJO1というニュースターの登場感とフレッシュさを存分に生かしたCMに仕上がっているかと思います」と言う。
CMを使い分ける立体的な施策
「BIG Y!」編は調査期間中のオンエアが3回だったにもかかわらず、女性13~17歳では全体の10位、18~24歳では8位と、若い女性から圧倒的な支持を受けた。コメントにも「かっこよすぎる」「とにかくみんな顔がいい」「好きなので見られてうれしい」といった声が並ぶ。
CM総合研究所の関根心太郎代表は、メディアやキャンペーンを使い分けるワイモバイルの戦略に着目。「CM好感度を牽引した『親子de学園祭』編は横浜流星さんや吉岡里帆さん、Mattさんなどさまざまなジャンルの著名人が楽しげに歌い踊る内容で、幅広い層に支持されました。また若者に対しては、彼らの間で人気の高いJO1をいち早く起用して『BIG Y!』編を制作。放送回数は多くありませんがSNSで話題を広げ、ウェブでのプレゼントキャンペーンなども展開しています。ターゲットごとにキャストや主戦場となるメディアを使い分けた立体的な施策が成功したようです」
ファミリーに向けた「親子de学園祭」編と若者に向けた「BIG Y!」編。ターゲットの特性にあわせたキャスティングやメディア展開が功を奏し、総合3位という高いCM好感度に結びついたといえそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■当月オンエアCM:全2381銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある
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