「人の得意引き出す力」自負 現場の声聞き共に考える野村アセットマネジメント 中川順子CEO兼社長(上)

「社内ではIT(情報技術)に投資して新しい需要に対応できるインフラを整えています。人事も部署を超えたバーチャルなチームをつくるとか、外部からの採用を増やすとか、色々と試みています。人は誰しも慣れた仲間と仕事を続ける方が楽ですが、需要の変化に機敏に応えていくには人材を固定せず多様にしていく必要があります」

――変革が必要な時、リーダーはどう導くべきでしょうか。

「変革のタネは現場にあることが多いです。何も出てこなければ私からアイデアを出すこともありますが、『やれ』と命令するよりは『調べてみて』と言います。仕事もどんどん変化していくので、常識は変わるという意識をチームが共有することが大事です。面倒でも自分と違う人間と一緒に働く意欲を持つように後押しをします。それがチーム全体のプラスになるので」

――慣れたやり方を変えることに社員が反対したら、どうしますか。改革の旗を掲げて強行突破しますか。それとも多数派の声を尊重して譲歩しますか。

「現場が反対する場合、反対している理由を知りたいです。現場が納得しなければ、目指す方向に動きませんから。反対している社員の意見を聞いて一緒に考えます。そのうえで、やはりやった方がよいと判断すれば断行しますし、反対意見に理があると判断すれば自分の考えを変えるでしょう」

息抜きは水泳と散歩。古くからの友人と仕事とは全く関係のない話をすることが仕事へのエネルギー補給という。

「会社のリーダーには、強靱(きょうじん)な精神力で皆をぐいぐい引っ張って突進するタイプもいますが、私は周囲の声を聞いて現場と一緒に考える方です。何事も1人ではできないですから。ビジョンや方針を伝えて社員と密にコミュニケーションをとり、手段は社員一人ひとりに考えてもらう。自律的なチームをつくります」

――ロールモデルとする人はいますか。

「特定のこの人というのはいません。投資銀行部門の時代に顧客の事業会社のトップと会う機会に恵まれたので、そこでトップの在り方を感じることが多くありました。トップはどのように判断し決断するのか目の当たりにして参考になりました」

「社内の上司や先輩はメンターとして助言をくれたと思います。現在、野村証券には公式なメンター制度がありますが、当時はまだなく、自分で勝手に心の中で頼りにするメンターが4人ほどいました。判断に迷ったときに相談する相手とか、もやもやしたときに話を聞いてもらう相手とかです。現場と自分の意見が違うときに、自分が間違っているのかと内省しつつ、思いを打ち明けたり。突破する方法を直接教えてもらうことはできませんが、ヒントを得たと思います」

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中川順子
1965年生まれ。88年、神戸大学卒業後、野村証券に一般職で入社。総合職に転換後、投資銀行部門などで経験を積んだ。2004年に退社して香港で主婦生活。帰国した08年にグループ会社の社長になった。11年、野村ホールディングス初の女性執行役CFOに。19年4月から現職。野村ホールディングス執行役も兼任している。

(編集委員 吉田ありさ)

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