史上最小の恐竜化石 琥珀の中の「あまりに奇妙」な姿

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/4/10

大きな目はトカゲに似ていた

オクルデンタビスの目は、頭の横から飛び出すほど大きかったと見られる。オコナー氏は、古生物の「目の専門家」である米クレアモント・マッケナ大学W.M.ケック科学部のラース・シュミッツ氏に相談した。

爬虫類や鳥類の目には、視覚器を支える小さなリング状の骨(強膜輪)がある。強膜輪を構成する板状の骨は通常、細い長方形のような形だが、オクルデンタビスのものは、アイスクリームをすくう「スクープ」のようだった。「他の鳥類や恐竜には見られないものです」と同氏は話す。

現生の動物で同様のスクープ状の強膜輪を持つものは、昼行性のトカゲだけだ。同氏らの考えでは、オクルデンタビスは異常に大きな目を使って日中に餌を探し回り、歯の生えた口で昆虫を捕まえていたという。

現生鳥類で最も似ているのは、カリブ海に生息し昆虫を捕食する小型の鳥、コビトドリかもしれないと、鳥の頭骨の専門家である英ハル大学のジェン・ブライト氏は言う。しかし、コビトドリの頭骨は、オクルデンタビスの化石の2倍の大きさだ。「これほど小さな脊椎動物の化石が見つかるとは、度肝を抜かれました」と同氏は話す。「それほど奇妙なものなのです。私は大好きですが!」

オクルデンタビスの奇妙な特徴は、先史時代の特異な環境で進化したものではないかと、オコナー氏は考えている。資源が限られた島などの生態系では、進化の過程で動物の小型化が進む場合があるからだ。このミャンマーの琥珀層からは海洋生物のアンモナイトの化石が見つかることから、この琥珀は島あるいは少なくとも海岸線で形成されたことが示唆される。

「現生の脊椎動物で最小のものは、マダガスカルに生息する小さな小さなカエルで、肉食性です。同じようにオクルデンタビスも肉食だったと考えています」と同氏は語る。

オクルデンタビスに初めて光が当てられたのは2016年、ミャンマーの琥珀収集家カウン・ラ氏がある鉱山から出土した2個の標本(今回の極小の謎の頭骨を含む)を手に入れたときのことだ。同氏は、義理の息子であるグアン・チェン氏が館長を務める中国騰衝の琥珀博物館に、この化石を寄贈した。恐竜の種名の「カウングラアエ」は、寄贈したラ氏にちなんで名付けられた。

オクルデンタビスの頭骨が閉じ込められていた琥珀は、元々もっと大きな塊であり、羽毛が含まれていたという噂がある。だが、シン氏が化石を見た時には、琥珀は2つのかけらに切断・研磨されており、元が同じ物だと確認できなくなっていた。

シュミッツ氏は個人的に、同じ物である可能性に期待している。「この頭骨は、あまりに奇妙です。これまで記載したこと以外にも何かわかることがあるかもしれません」

(文 MICHAEL GRESHKO、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年3月14日付]

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