山ごもり休暇で職場は変わる 働き方改革は休み方改革2020年 変わる働き方(3) リンクトイン・ジャパン代表 村上臣

これまでの日本は終身雇用がベースになっていたことから、まず人を雇ってから、人に仕事をつけていくという考え方でした。製造業が主流だったことから、投入した時間=アウトプットであり、仕事が増えても時間を伸ばすことでうまく運用してきました。一方、欧米では仕事に人をつけるという考え方のため、いわゆる「ジョブ型」がベースになっています。新しい事業を作るためにチームが必要だから、最適な人をそのときどきで雇う。逆に事業が撤退すればチームも基本的には解散です。

この雇用の違いが勤労カルチャーの違いになっているように思えます。与えられた仕事が明確なので、期待どおりのパフォーマンスを出していればOK。また、休暇は権利なので、しっかり調整した上でしっかり取る。日本の場合は多くの人が総合職的な働き方なので、手伝おうと思えば他の部署であろうと無限に手伝うことができます。これが「早く帰ったら悪いかな」といった罪悪感につながっているのではないでしょうか。

どちらが良い悪いというつもりはなく、自分がどちらの働き方を望むかだと思います。またそれを表明することが大事です。そうすれば、企業側もよい人材を取るためにはカルチャーを変化させる必要が出てくるでしょう。

「山ごもり休暇」にみる働き方改革

日本は転職率が低いので、職場に「急に人が辞める」という経験が少なく、このことが休みが取りづらい一因かもしれません。「同じ人がずっとそこにいるだろう」という安心感から、業務がどんどん「属人的」になっていく。引き継ぐ機会もないので、書面ではなく暗黙知として人に蓄積されてしまう。これらは、育休取得の難しさなどにも通じるでしょう。

この課題に対して、ユニークなアプローチを導入している会社があります。ウェブマーケティングを手掛けるイルグルム(旧ロックオン)は、会社との接触を一切禁じる「山ごもり休暇」という制度を2011年から導入しています。休みが取りづらいという社員からの声が挙がる一方で、会社側も一人でも欠けると仕事が回らない状況をリスクと捉えたようです。

「山ごもり休暇」制度を導入する企業も(大阪市のイルグルム)

海外では雇用流動性が高いため、日常的に業務を可視化しています。そのためのツールも豊富ですし、そのことで一連の業務が見える化しており、生産性向上にも役立っています。そして、さらに柔軟性を増したやり方として、仕事を分け合う「ワークシェアリング」があります。ワークシェアリングの基本的な考え方は、仕事をたくさん抱えている人が自分の仕事を他の人に手伝ってもらい、仕事のない人に雇用を与えるというものです。失業率が高い時代に重要とされる考え方です。

今後の日本は働き手不足が深刻化すると予測されています。しかし、フルタイムで働いていた方が、出産や育児をきっかけに休職し、そのまま復帰しない例も多いです。これは、フルタイムに求められる労働時間が生活スタイルに合わないことも原因でしょう。もし柔軟な働き方ができるなら、仕事を続けたいという方も多いのではないでしょうか。

さまざまな事情を抱える人が、それぞれに合った形で組織に貢献でき、それを実感できる。そんな社会を作っていきたいですね。

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