「シブコ」ウエアも崩す楽しさから ビームス設楽社長ビームス 設楽洋社長(下)

ゴルフウエアから宇宙ステーション滞在ウエアまで

――ビームスを広く知らしめるきっかけになったのが、19年に脚光を浴びた渋野日向子選手でした。全英女子オープンで優勝したときのビームス ゴルフのウエアが大ヒットして。

「神風が吹きました。たちまち商品が足りなくなり、偽物が先に出回ったほどです。ビームス ゴルフのウエアは街でも着られるデザインで、ゴルファー以外にも大ブレークしました。なぜ彼女と契約できたのか、と聞かれますが、僕らには腕前をみる力などありません。あるとき、ビームス ゴルフのスタッフが、『とにかく性格がものすごくいい子がいます。力は未知数でも応援したい』と言ってきたのでお会いしました。笑顔がすてきでビームスにぴったりだ、応援しよう、と4月に契約の話が出て、ハンコを押す前に5月に国内ツアーで初優勝しちゃった。その後、全英女子オープン優勝。拾った宝くじに当たったみたい」

粋なゴルフスタイルは仲間内でも評判。「僕がおしゃれなのではない。ビームス ゴルフのウエアがおしゃれなの」

「すごくうれしかった半面、ショックだったのが、アメリカに行ったとき。ビームスといっても現地の人はあまり反応してくれないのに、渋野日向子が着ているビームス ゴルフのプレジデントだ、と紹介されると皆が『おお! 知っているよ! それはすごい』。ちょっと待て、うちの43年間は何だったんだと」

――ゴルフウエアも広い意味での仕事服。近年、さまざまな業種にウエアを提供しています。

「19年には野口宇宙飛行士の国際宇宙ステーション滞在ウエアを作りました。アメカジ好きでうちのお客さんでもある野口さんからのリクエストは、『半年も滞在するので普通にみえるもの』『リラックスできる、ラグビージャージーやポロシャツもほしい』『フライトスーツはつなぎではなく、上下離れるようにしたい』など。普通にみえる、といっても無重力ではポロシャツの裾がずり上がってしまう。どう工夫するか。おかげで異次元空間での装いを勉強できました。宇宙服のニュースタンダードにしたいですし、ノウハウを生かせば防災ウエアにも役立ちそうです」

シブコ(中)に大坂なおみ(右)に腹筋が割れた某誌の男性はいずれも設楽さん。合成一切なしで自演して作る驚きの年賀状だ。「腹筋の準備に7カ月かかりました」

――仕事服に携わることで、何か新しく得たものはありますか。

「うちは渋谷区のパートナー企業なので、クールビズには何を着たらいいかなど、区の職員に服装のアドバイスをしています。こうして多種多様な職種の人とお付き合いしていると、それぞれの業界に、ファッション業界の人間には分からないトレンドがあることに気付かされます。自分たちのこだわりは実は狭い世界の中でのこと。それを外の人に理解してもらうことは大変です。だからビームスがやるべきことは、こだわりは持ち続けながら、誰にでも分かりやすい商品をつくることだ、と改めて思いました」

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