中国で1日200万個売れたおもちゃ 日本へ逆進出

日経クロストレンド

北京市内の「POP MART」前で撮影した「盲盒(ブラインドボックス)」
北京市内の「POP MART」前で撮影した「盲盒(ブラインドボックス)」
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今、中国の若者を中心に一世を風靡(ふうび)しているのが、開けるまで何が入っているか分からない「盲盒(ブラインドボックス)」と呼ばれる玩具だ。ユニークかつ幼稚過ぎず、幅広い世代に受け入れられるそのデザイン性から、ポップカルチャーの百貨店「POP MART(ポップマート)」は2019年の「独身の日」にブラインドボックスを200万個販売、売り上げは1日で約8212万元(約13億1392万円)にも上った。

ブラインドボックスとはいわゆる食玩のような玩具の一種だが、ボックスにラムネやガムなどといった菓子が入っているわけではなく、菓子売り場に陳列されることもない。

また、食玩とはひと味違い、ユニークなデザインと個性あふれるキャラクター像がシリーズごとに存在し、子供のみならず、売り場でよく箱買いをする大人を見かける。値段設定も子供向けではなく、大人向けだ。平均価格は59元前後(約1000円)だ。

現在、中国で一世を風靡するブラインドボックスだが、面白いことに、諸説あるものの、そのマーケティング手法や商品としてのルーツを探ると、意外にも日本へとたどり着く。

まずはマーケティングについてだが、ブラインドボックスは日本の福袋の要素を取り入れているようだ。数多く陳列されているブラインドボックスの中から、好みのキャラクターを引き当てるために、運頼みではあるが、自分が「これが当たり!」と思う箱を選ぶ。このギャンブル性が強いコンセプトはまさに福袋と同じであり、不確定要素が高いものの、人々がつい購入したくなる要因ともなっている。

福袋のコンセプトはいわゆる「ガチャガチャ」へと移植され、自分が欲しいと思う商品を引き当てるまでひたすらガチャガチャを回す人が少なからずいるであろう。中国でもブラインドボックスは形状としてはまさに「ブラインドカプセル」となっており、ガチャガチャを回す感覚で購入する。

ブラインドボックスという商品のルーツに目を向けると、元祖ブラインドボックスとでも呼べる商品がある。日本の生活雑貨やオーディオ雑貨を企画製造するドリームズ(東京・新宿)が製造・販売していた「Sonny Angel(ソニーエンジェル)」だ。小さな天使の男の子をモチーフとしたミニフィギュアで、04年の発売以降、全世界33カ国で販売され、累計出荷数は300万個ほどになるという。

14年に、Sonny Angelは中国へと進出し、中国の若者向け市場を開拓。当初は大型モールなどで販売していたが、中国のデザイントイメーカーであるポップマートがSonny Angelに目を付けた。

すでに全国に展開していたトイショップ「POP MART」で販売を開始すると、若い女性を中心に人気が爆発。ポップマートはすぐにブラインドボックスが次の若者トレンドとなると信じ、現在の主力商品である「Molly(モリー)」や「Pucky(パッキー)」といったキャラクターのデザイナーと契約。ブラインドボックスをリリースすると、Sonny Angelと同じく、両製品は大人気を巻き起こした。

POP MARTの商品ラインアップ(POP MARTの公式ホームページより)

しかしポップマートが販売するこれらブラインドボックスの人気は、一部の若者やコアなファンにとどまり、今ほど広がってはいなかった。筆者が住んでいた北京でも、大型のモールでPOP MARTはよく見かけるものの、玩具系の雑貨屋さんという印象が強く、ブラインドボックスの印象はほぼなかった。

だが、19年7月にインターネット上で「閑魚上的盲盒経済」(フリマアプリ「閑魚(シエンユー)」上に存在するブラインドボックス経済)という記事が掲載され、プレミア価格が付くブラインドボックスが取り上げられると、ネット上で注目を浴び始めた。

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