潮目変わった転職市場 「できること」重視で道を開く経営者JP社長 井上和幸

経験や実績に軸足を置いて、新分野にチャレンジ

ピボット例2 現職企業で新規事業を立ち上げ、それを軸に新天地へ移籍

SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)ベンチャーで事業責任者を務めたBさん(39歳)は、同社にスタートアップのフェーズで参画。基幹事業となるBtoB型SaaS事業の立ち上げを牽引しました。初めての経験でもあり、事業自体も独自のモデルで他にラーニングできる先行事例もなかったため、当初数年は先の見えない試行錯誤が続きましたが、そこからさらに数年を経て見事、その事業モデルを確立させ、正式にサービスを提供開始。マネタイズにも成功し、準備を進めてきたIPOもいよいよ目前に迫りました。新規事業の立ち上げから事業化までの一通りを手掛けたことで、Bさんには自分の適性とやりがいがこの0→1過程にあることに気づき、今後この道で歩もうと決意。そのような折、ベンチャー経営陣でのつながりから、某ベンチャー社長から「今度、当社でこのようなクラウドサービスを立ち上げたいと考えているのです。ぜひやってもらえませんか」とスカウトを受け、次のチャレンジとして移籍を決意しました。

ピボット例3 職務専門性を生かしつつ、今後の産業動向をにらんで近傍分野に転職

製造業系部品メーカーで事業企画部長を務めてきたCさん(52歳)。成熟業界特有の構造的な自社業績の頭打ち状況に対して歯止めをかける役割を担い、海外販売の積み増しや国内外での業務提携・事業提携などを仕掛けることで、役割を果たしてきました。その対策自体は自社経営陣の期待も高く、実績について評価も感謝もされておりやりがいあるのですが、今後の残りの社会人人生で、成長市場で積極的な事業チャレンジをやりたいと希望して転職活動を開始。Cさんのタフな経験と実績は、関連する製造企業では非常に魅力のあるものであり、グローバル展開をして、業績を好調に伸ばしている某成長メーカーの事業企画室長として招かれるに至りました。

これらはいずれも、私が実際に関わった事例を元に脚色したものですが、まさに今回のテーマである、中長期的観点での「キャリアピボット」転職といえるでしょう。

キャリアにおいてのピボットは、自分の「できること」を軸足にして、より望ましい「やりたいこと」「求められること」の方へと回転するのが望ましいです。上記3つの事例では、

ピボット事例1 「経理財務部長としての経験、実績」を軸足にして、「より上位の職務(役員クラス)期待値のあるポスト」へと回転

ピボット事例2 「SaaS事業の新規事業立ち上げ経験、実績」を軸足にして、「新たなクラウド事業の立ち上げ責任者ポスト」へと回転

ピボット事例3 「製造メーカーでの事業企画、事業開発・提携等での経験、実績」を軸足にして、「成長領域にある製造メーカーでの事業企画責任者ポスト」へと回転

と、それぞれ「できること」を軸足にピボットしています。これ以外にもいろいろなケースがありますが(あり得ますが)、重要なことは「あなたができること」を軸足にして、「あなたがやりたいこと、企業から求められること」へと回転することです。

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