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フランスの高級ホテルで、有名ソムリエのグザビエ・チュイザ氏(左)などプロ向けのセミナーを開催

熟成酒の次に着手したのが、シャンパンと同じように瓶内二次発酵させたawa酒「MIZUBASHO PURE」の開発だ。試行錯誤を繰り返し、08年に日本酒のスパークリングを誕生させた。

「NAGAI STYLE」は現在、ニューヨークやパリ、ロンドンなどのミシュラン星を獲得しているトップレストランなどで提供されている。地元の有名高級レストランから置いてもらうことで、しっかりとブランド価値を高めていく戦略だ。「10年後には日本酒でペアリングは当たり前になるでしょう」と永井氏。

永井氏のもう一つの目標は「特定名称酒をうたわないで、日本酒の魅力を伝えること」。20年6月にその夢も実現する。アーティストたちに地元・尾瀬の水芭蕉の絵を描いてもらい、ボトルのラベルに採用したアーティストシリーズで、第1弾は俳優の片岡鶴太郎さんの絵を起用する。シリーズは売り上げの5%が尾瀬の環境保全のための「尾瀬の水芭蕉プロジェクト」に募金される仕組みだ。

永井酒造の水源地でawa酒で乾杯

「これからはスペックで酒を語るのではなく、ストーリーを語るところに焦点をあてていきたい。モノとしての酒ではなく、文化として酒をとらえてくれるかどうか。モノ(酒)があふれればあふれるほど、ストーリーが大事になってくると思っています」と永井氏は語る。

新商品では精米歩合などはあえて公表していない。酒税法上は「特定名称酒」ではなく「普通酒」として扱われるので、「NAGAI STYLE」に比べて低価格で販売される。輸出だとコストがかかり割高になってしまいがちだが、新シリーズでは高級店だけでなく、一般の消費者など幅広い層にアプローチできる、と永井氏は期待する。

「シャンパンはブランディングに成功しており、市場も成熟しているので、ニューヨークでもパリでも日本でも、どこで買っても同程度の価格で入手できる。日本酒もシャンパンのようになるのが理想」と永井氏は考える。

世界のワイン市場に比べて、日本酒の世界市場はとても小さい。「まだまだスタートラインです」と話す永井氏。一方で、「ワイン王国フランスのソムリエたちが真剣に日本酒を見つめるように変わってきた」と実感し、手応えも感じているという。

(国際きき酒師&サケ・エキスパート 滝口智子)


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