初代ロードスター マツダが自らレストア、狙いは何?

「RX-7」オーナーも切望

地道な活動を続けるレストアサービスだが、歴代ロードスターオーナーのみならず、古いマツダ車オーナーからも熱い視線が注がれている。特に熱量が高いのが、ロータリーエンジンを搭載するスポーツカーRX-7のオーナーたちだという。

古くなれば、部品供給や愛車のリフレッシュに悩むのは、どのクルマも同様。マツダも初代ロードスターだけで終わらせるのではなく、このノウハウを、いつか他のロードスターを含め、愛好者の多い古いマツダ車へと活用したいと前向きに考えており、この取り組みを現在は「クラシック・マツダ」と呼んでいる。

ただ失われたパーツの再供給は、想像よりも難しい。当時の素材や製法が今は失われているケースも多く、製造に必要な金型や設備が存在しないことも多々あるからだ。

意外にも最大の難関は電子パーツだという。その点、当時の最先端技術を利用したハイテク装備とは無縁だった初代ロードスターは有利なのだ。しかし、1.8リッターエンジンを搭載した後期型ではエアバッグやABSなどが搭載されるようになった。これもレストア対象車拡大のハードルのひとつとなっている。

新車販売以外のビジネスに

このレストア事業はマツダの生き残るための戦略のひとつだ。

将来的に新車販売だけではビジネスが成り立たないだろうという危惧から、マツダは11年、販売したクルマをビジネスにつなげていく事業が模索しはじめた。その中で、ファンの多いロードスターの顧客をフォローできる事業として、レストアサービスの原案が生まれた。これはマツダの新ビジネスチャレンジであり、続けるためには赤字にできない。

ただ事業化と継続の裏には、30年たってもロードスターを大切にしてくれている人たちの情熱に応えるべく、奮闘するマツダやサプライヤーの人々の熱意と努力がある。メーカーの取り組みではあるが、実に人間臭いビジネスといえるだろう。

近年、他の国産自動車メーカーでも、人気の高い旧型車のパーツの再供給の取り組みが始まっているが、現時点でレストアまで手掛けているのは、他社では、ホンダのスーパースポーツ「NSX」くらいしか見当たらない。それだけにハードルが高いビジネスなのだ。そのNSXも、新車当時から、サーキット走行や過走行などのハードユーザーのために、レストアを含む大掛かりなリフレッシュメニューを用意し、サービス基盤を築いてきたアドバンテージは大きい。それだけハードルが高いビジネスなのだ。

ましてロードスターは、大衆車である。マツダとユーザーそれぞれの熱意がなければ、決してビジネスとして成立しない。それだけの熱量を持つのが、ロードスターというブランドなのだろう。

ロードスター30周年イベントで展示されたレストア車両。その美しい仕上がりは、まさに新車だ
大音安弘
1980年生まれ、埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材している。自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。
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