膝つき合わせて語れ トップの仕事は切り込み役にあり島津製作所社長 上田輝久氏(下)

島津製作所社長 上田輝久氏
島津製作所社長 上田輝久氏

モノづくりからコトづくりへ――。島津製作所は大きな転換点を迎えている。これまでの分析機器を中心とする製造業にとどまらず、認知症やがん、生活習慣病などの疾病予防、治療の仕組みを提供する企業への進化を図る。陣頭に立つ上田輝久社長は、リーダーの仕事は「新たなコンセプト」を打ち出すことにあると説く。それを支えるのは膝をつき合わせての密なコミュニケーションだ。

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――チームを率いるリーダーとして最も意識することは何ですか。

「メンバーのベクトルを合わせることが重要です。それぞれバックグラウンドが異なり、同じ言葉で伝えても認識を共有できないことがあります。そうしたときは誰かに任せるのではなく、自らコミュニケーションをとらなければなりません」

「主力の分析計である『液体クロマトグラフ』を担当していた課長時代、製品開発がうまく進まないことがありました。そのときは、開発を手がける部下と膝をつき合わせて話し合い、その原因を探りました。品質保証部長のときもそうでした。足並みの乱れを感じると、『私はこう思う、あなたはどう思いますか』と話をして回り、異なる背景を持った部下ともコミュニケーションを欠かしませんでした。結果として、『ここまで現場に降りてきてくれた部長は初めてです』といってもらえました」

大切なのは一緒に汗を流すこと

――悩んでいる部下にはどんな言葉をかけますか。

「言葉をかけるというよりも、一緒に考えます。悩んでいるのはクレーム対応や想定外の現象などが起きた場合が多いのです。自分なりに関連するような情報を探してきて伝えます。だからといって解決策がみつかるわけではないのですが。指示ではなく、一緒に汗を流すことが大切なのです。半面、突き放すことも重要です。私のアイデアは参考にとどめて、本人に考えてもらう。何も考えていない人と話をしても前には進みません」

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