「完璧でなくていい」自然体で仕事 永井裕美子さん
キャリア女性向け転職支援のLiB副社長(折れないキャリア)
ゼネラル・エレクトリックやエルメスジャポンなど外資系企業で人事責任者としての経験を積み、キャリア女性向け転職支援のLiB(東京・渋谷)で副社長として年下の社長を支える。
今でこそ自然体で仕事に取り組むが、社会人になってしばらくは「肩に力が入り、『女は何もかも完璧でないといけない』と思っていた」。
富士ゼロックスに新卒で入社した1981年当時、営業職の女性は少なかった。「新卒の女性を担当にするなんて、バカにしているのか」。初めて訪れた営業先でいきなり叱られた。
「3カ月だけ担当させて下さい」と懇願した。何度も通ううちに信頼関係を築き、1年以内にコピー機の販売で契約を取ることができた。
周りから「女性だから」と言われることは少なくなかった。数字で成果を出すと、周囲の目は変わった。長く仕事を続けるためにスキルを身につけたいと留学を志願した時も「女性はちょっと」といわれた。ひるまず挑戦して合格し、米コーネル大で産業労働関係学を学んだ。そこから人事畑のキャリアが始まる。
働く女性としての意識が変化したのは、多くの女性が活躍する米ゼロックスで職場内研修を受けたときだ。尊敬していた管理職女性のスカートのファスナーが開いていたのだ。「開いていますよ」と指摘した瞬間、ふっと肩の力が抜けた。
女性は仕事も見た目も全て完璧で人一倍努力しないといけない、と思い込んでいた。「完璧でなくていいんだ」。以来、自分への期待値を過大に設定することがなくなり、落ち込むことが減った。
仕事と同様に大事にしているのが社外活動だ。女性のリーダーシップや社会課題の解決に関わる団体で30年来、活動している。団体には年齢や所属も多様な人たちが集まる。女性管理職がまだ少ない時期に社外の先輩から学ぶことは多かった。様々な人と交流する中で「一つの会社の論理だけで物事を判断するのは危険」との気づきも得た。
現在の会社に入社したのは、社外活動でも取り組んできた「ジェンダーギャップ」の解決に携われると感じたからだ。スタートアップならではのスピード感で「個人だけでなく、企業や社会の固定観念を変えていきたい」と意気込む。
(聞き手は佐藤史佳)
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