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大容量インクプリンター 使う人ほど得、環境に優しく

大河原克行のデータで見るファクト

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NIKKEI STYLE

インクジェットプリンター市場において、大容量インクタンクモデルの存在感が少しずつ高まっている。調査会社BCNのデータをもとに独自に集計をしたところ、各社の新製品が出そろった2019年11月には、大容量インクタンクモデルの構成比は7.7%に拡大。12月も7.5%となった。最新データとなる20年1月も、大容量インクタンクモデルの構成比は7.0%と、7%台を維持している。

1月だけのデータを遡ってみると、17年1月はわずか0.1%だったのが、18年1月には2.2%に拡大。そして、19年1月には4.2%となり、20年1月には7.0%と、年を追うごとに大容量インクタンクモデルの構成比が高まっていることがわかる。

大容量インクタンクモデルは、従来のようなインクカートリッジとは異なり、あらかじめ大容量のインクタンクを搭載。ランニングコストが安いのが特徴だ。

たとえば、エプソンのインクカートリッジモデル「EP-882AW」だと、A4カラー文書1枚当たりのコストが約12.0円であるのに対して、大容量インクタンクモデルの「EW-M752T」は約2.7円。L判写真を印刷する際のインクと用紙の合計コストでは、「EP-882AW」の1枚あたり約20.6円に対して、「EW-M752T」は約8.6円で済む。

本体価格は、大容量インクタンクモデルの方が高いが、「1年間でインクカートリッジを1セット購入したり、500枚入りのA4コピー用紙を1冊購入するユーザーであれば、トータルコストでは、大容量インクタンクモデルの方が得になる」(エプソン)としている。また、インク交換の手間がかからず、インクカートリッジをこまめに購入したり、予備のインクカートリッジを用意しておいたり、といった手間も減る。これは、環境負荷を低くすることにもつながる。

現在、国内では、約350機種のインクジェットプリンターが販売されているが、そのうち大容量インクタンクモデルは、エプソン、キヤノン、ブラザーから34機種が発売されており、ラインアップも徐々に広がってきている。

大容量インクタンクで先行したエプソン

この分野で先行しているのが、エプソンだ。

19年のインクジェットプリンターのシェアは、キヤノンが43.7%、エプソンが42.7%、ブラザーが13.0%となっているが、大容量インクタンクだけに絞り込むと、エプソンが59.5%と圧倒的なシェアを誇る。それにキヤノンの25.6%、ブラザーの14.8%が続く。

また、20年1月のデータを見ると、エプソンでは、9.3%を大容量インクタンクモデルが占めており、その構成比は徐々に拡大。2桁に達しようとしている。

もともとインクジェットプリンターのビジネスモデルは、プリンター本体を低価格で販売し、インクカートリッジで収益を確保するというものだ。

プリンターの普及期において、台数シェアを獲得することが、その後のインクカートリッジの販売数量に直接影響することから、各社は、プリンター本体の価格を引き下げ、その分、インクカートリッジでもうけるビジネスを選択した。

だが、このビジネスモデルはプリンター普及期には功を奏したものの、プリンターの普及が一巡すると、負の影響を及ぼし始めた。

インクカートリッジが高いため、プリントアウトをしないという動きが顕在化したからだ。さらに、スマホの普及により、1人あたりの写真の撮影枚数は圧倒的に増加しても、プリントアウトをせずにデジタルデータとして保管する使い方が一般的になった。ペーパーレス化といった動きも、大手企業だけでなく、中堅中小企業や個人における印刷頻度を減らすことにつながった。さらに、量販店では、利益率が高い互換インクを優先的に取り扱うようになり、純正品の販売比率が減少。インクカートリッジで稼ぐというビジネスモデルが限界に達しようとしていた。

98%のユーザーが「高い」

セイコーエプソンの碓井稔社長は、「顧客接点のあり方がコモディティーでないものは、サービスを中心に変えていく必要がある。プリンターメーカーの立場であれば、いかに印刷してもらうかが重要であるにもかかわらず、インクカートリッジが高く、できれば印刷したくないという環境をつくり上げてしまった。これを改善する必要があった」とする。

大容量インクタンクモデルを日本でも積極展開する際に、エプソンは、インクがしょっちゅう切れると感じている人が88%、インク代が高いと感じている人が98%に達し、多くのユーザーの不満点になっていることを自ら示してみせた。

大容量インクタンクモデルは、インクジェットプリンターのビジネスモデルの限界を打破するための仕掛けだったといってもいい。

だが、ビジネスモデルを一気に変えると業績への影響が避けられない。エプソンは、10年から大容量インクタンクモデルの販売量を徐々に増やし、それを新興国向けのビジネスモデルとして定着させてきた。その上で、ビジネス基盤が大きい先進国に向けても、大容量インクタンクモデルを投入しはじめた。先進国でビジネスを本格化させたのは3年前からだ。

ワールドワイドでは3分の2が大容量に

ただ、日本での基本スタンスは、まだ「二刀流」だ。

「それほど印刷枚数が多くないユーザーであれば、インクカートリッジモデルのほうが適している。エプソンは、そうしたユーザーに対して、インクカートリッジモデルも提供していく。インクカートリッジモデルに不満がある人に対する、もうひとつの新たな提案が大容量インクタンクモデルになる」(エプソンの碓井社長)とする。

とはいえ、エプソンのインクジェットプリンタービジネス全体を見た場合、すでに大容量インクタンクモデルが主力となっている。

19年度(19年4月~20年3月)のインクジェットプリンターの全世界の出荷計画は約1580万台。そのうち、約1020万台が大容量インクタンクモデルだ。実に、約3分の2を大容量インクタンクモデルが占めている。

家庭用インクジェットプリンターの市場は縮小傾向にあるが、ビジネスモデルの転換は、各社の業績にプラスに影響しはじめている。

先ごろ、エプソンが発表した19年度第3四半期(19年10~12月)決算では、大容量インクタンクモデルの販売数量の増加が、業績に対するプラス要因になっていることを強調。また、キヤノンマーケティングジャパンも、19年通期(19年1~12月)において「家庭用インクジェットプリンター市場は低迷したものの、大容量インクタンクを搭載した製品が好調に推移し、売り上げは増加している」と説明する。

大容量インクタンクモデルの構成比が上昇することで、プリンターメーカー各社の業績も健全化する方向にある。大容量インクタンクは、ユーザーにとっても、メーカーにとっても、プラスに働く製品だといえる。

(ライター 大河原克行)

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