アイデアが湧き出る「着眼点」とは プロに学ぶ発想法

伊藤羊一氏と岡田庄生氏(右)
伊藤羊一氏と岡田庄生氏(右)

あらゆる仕事において「アイデアを出す」というプロセスは欠かせない。日々、アイデアで勝負している広告やIT業界のフロントランナーたちはどのように発想力を鍛えているのか――。博報堂の若手クリエーター・岡田庄生氏とYahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏が「アイデアを生み出すスキル」について語り合った。

◇   ◇   ◇

――岡田さんは最近『プロが教えるアイデア練習帳』(日経文庫)を出されました。なぜ執筆しようと思ったのですか。

岡田 博報堂に入社して、配属が決まった日のことですが、トレーナーが私の机の上に郵便局で使うはかりを置いていきました。「明日の打ち合わせでアイデアを100グラム出しなさい」というんです。何本ではなくグラムですか? みたいな感じでした。

伊藤氏に執筆のきっかけを話す岡田氏(右)

「とにかく量を出せ」ということで鍛えられましたから、アイデアを出すことに苦手意識はなくなりました。そこで、博報堂が一般企業の人向けに研修で教えている発想法を紹介しようと思ったわけです。

調べてみると、今まで出ているアイデアの本は僕が通ってきたような「100本ノック」系ばかりでした。でも一般の会社で企画出しに使う場合は、そんな手間のかかることはやっていられないですよね。部下や広告会社の人にアイデアを出してもらうという立場で仕事をしている人が多いと思います。そこで、むしろ良いアイデアが生まれるプロセスを伝えれば役立ててもらえるかと。

プロを目指すなら100本ノックをするべきでしょう。しかし、そうでないならポイントを押さえることが大切です。この本では「着眼点」と「切り口」という2つの視点を提示しました。「あなたが考えた以外にもこういうものがありますよ」と気づきを与える方法です。実践的な知識を身につけてもらえるように、「ゼリーを寒い季節に食べてもらうアイデア」「中学のトイレをきれいに保つためのアイデア」など課題を20問取り上げてドリル形式で解説しています。

小さい水筒の意外な使われ方

――岡田さんは「良いアイデアを出すには着眼点を広げることが大事だ」という強調しています。

岡田 商品をつくる側は一生懸命つくっているわけだから、当然、性能なり、品質なり、値段なりをアピールしますよね。具体例を挙げましょう。今、スマホぐらいの小さい水筒がはやっています。商品を知ってもらうために、普通の広告だと「軽い」「持ち運びやすい」というコピーになります。でも、ユーザーの視点ではどうでしょうか。実は、意外にもおばあちゃんが薬を飲むときに使われているんです。確かにそういう状況なら重いのはいやです。1回で飲みきるにもちょうどいい。

すると、売り方としては視野が広がってきますね。薬局とか病院でロゴマークを入れて配ったら喜ばれるんじゃないか、という発想が出てきます。

全く別の使われ方もあります。小さいから2本持ち歩く人もいるようです。ペットボトルは重いから1本だけど、これなら温かい用、冷たい用の2本使いに向いています。すると広告もまた変わってきます。こんな具合に固定観念を取っ払って、幅を広げることが大事なのです。

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