2020/3/1
マイルドハイブリッド機構についてはISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)の性能がアップしており、従来型では最高出力1.6kW、最大トルク40N・mだったのが、NA車では1.9kW、40N・mに、ターボ車では2.3kW、50N・mにそれぞれ向上している

発進はもたつくこともなくスムーズだ。強力な加速が得られるわけではないが、アクセルを踏むと忠実に応えてくれる。いらついて無駄にエンジン回転を上げてしまうようなことがない。低速でスピードの調節をしやすいのも美点である。クルマというのは、数字だけで判断してはいけないということがよくわかる。

R06D型エンジンのボア×ストロークは、61.5×73.8mm。前のR06A型は64.0×68.2mmだったから、大幅にロングストローク化したことになる。ストローク/ボア(S/B)比は1.07から1.20になった。熱効率を高めやすいので、軽自動車のエンジンは超ロングストロークがトレンド。ホンダが2017年の「N-BOX」から採用しているS07型はストロークが77.6mmでS/B比は1.29となっている。R06Dはそれに次ぐ“ナンバー2ロングストロークエンジン”の座を得た。燃焼室形状も見直し、圧縮比を12.0に向上させている。

新開発のR06D型エンジンは、従来のR06A型と比べて幅広い回転域で熱効率の改善が図られている。現状では新型「ハスラー」および「ワゴンR」に搭載されている

ACC装備はターボ車だけ

さらに、デュアルインジェクションとクールドEGRの採用、吸気ポート形状の最適化など、さまざまな改良が施された。スペックはダウンしても日常域では先代と同等の走行性能を維持し、燃費を向上させているのだ。大幅に改良したCVTと効率を高めたマイルドハイブリッドも、力強い走りに貢献している。

対して、ターボエンジンは従来どおりのR06A型のまま。えこひいきのようだが、先代ハスラーはNA版のほうが圧倒的に販売台数比率が高かったので、ひとまずNAを優先したということらしい。この先ターボも新型エンジンに変更される可能性は十分にある。

4WD車の悪路走破支援機能には、ブレーキ制御式のグリップコントロールやヒルディセントコントロールに加え、新たに雪道などでの走行安定性を高めるスノーモードが追加された

ターボ車に乗り換えてみると、当然ながらパワフルさではNAを上回る。アクセルの踏み込みは少なくてすみ、動きの軽快さには明らかに違いがあった。ただ、数字ほどの差は感じられない。NA版とターボ版でまったく別のクルマになってしまう軽自動車もあるが、ハスラーではさほどの差にはなっていないようだ。ならばオススメはNAなのかというと、そうとも言えない。ターボにしか用意されていない装備があるからだ。

新型ハスラーの大きな売りのひとつに、先進安全装備「スズキセーフティーサポート」の強化がある。特に、スズキの軽としては初めてアダプティブクルーズコントロール(ACC)が採用されたことがトピックだ。他社のライバルたちが続々と装備しているのだから、スズキとしても負けてはいられない。ただ、ACCを選択できるのは、ターボ車だけなのだ。高速道路で遠出するのはターボ車が多いというリサーチ結果を反映したというが、NAにはオプションの用意もないというのは、ちょっと残念な気がする。

次のページ
万全なNVH対策
MONO TRENDY連載記事一覧