時短勤務でも管理職昇進あり ローソンの女性幹部育成柳田衣里ローソン人事本部人事企画部部長(上)

2020/2/12

白河 時短中でも昇進ありは珍しい事例ですね。育休中の他社事例でも徐々に「同期の平均の評価をつける。ゼロポイントにはしない」というところも出てきました。きっと10年以上かけての地道な取り組みが、実を結び始めたフェーズに到達しているのでしょうね。他にも、女性活躍のための施策として、成果が見えてきた取り組みがあれば教えてください。

社内保育園は祝日も利用可能

柳田 14年に開設した「ハッピーローソン保育園」という事業所内託児所が好評です。待機児童問題の影響で、「保育園の決定通知が来るまで、復職できるかどうか分からない」という育休中の社員の不安を解消するために設置しました。万が一、地域の保育園に入れなくても、社内保育園でカバーできるという安心感があれば、精神的な負担をかなり減らせます。地域の保育園の申し込みをする時点で、社内保育園に預け始めておくことで、入園のためのポイントを加算できるというメリットもあります。また、「地域の保育園に通い始める前の、『慣らし保育』のために利用している」という声もよく聞きます。

白河 会社がオフィスビルに託児所を設置することに対しては「通勤の電車に子どもを乗せていくのは大変」といったネガティブな意見も聞かれますが、「いざとなれば、ここに預け先がある」という安心感のメリットはとても大きいですよね。公的なインフラが整っていない現段階では、とても価値のある役割だと思います。

柳田さん自身の子育て経験もキャリア施策立案に役立っているという

柳田 私自身も子どもが2人いまして、1人目の時にとても苦労したんです。2人目を産んだ後には社内保育園ができていたので、大助かりでした。そして、運営をする立場として、私が強くこだわったのは「祝日保育」にも対応すること。当社は祝日に出勤するのが原則なんですね。ところが、一般的に保育園は、土曜は対応しても日曜や祝日は休みなんです。結果として、同僚がそろって出勤している時に自分だけが休まないといけない日が生じてしまって、非常に心苦しい思いをしてきました。

周りのママ社員も同じ気持ちだったので、当時の社長に子連れ出勤を許してもらい、会議室を保育室として利用し、ベビーシッターさんに来ていただいての集団保育を06年度から始めたんです。保育園ができてからも、祝日対応は継続していて、もう14年ほど定着していることになります。

多い日で10人ほどの利用があり、最近はパパ社員がお子さんを連れてくることも増えましたよ。「祝日も安心して働ける」という安心感が、早い復職の後押しにもなっていると思います。

白河 365日の業界ならではの取り組み! まさに女性の後ろめたさの解消につながる、素晴らしい取り組みですね。「女性がなかなか管理職になりたがらないのは、自信がないから」とよく言われますが、私は実は違うんじゃないかと思っていたんです。「自信がないから」ではなく「後ろめたいから」。自分は皆と同じように働けないかもしれない、あるいは、皆と同じように働くことができなかったという後ろめたさが、一つのハードルになっているのではと。

柳田 そうなんです。祝日対応までする社内保育園というのは、他に聞いたことがないのですが、社員のニーズに応えられる取り組みになっていると自負しています。

(以下、来週公開の後編では男性育休取得への取り組み、女性にキャリア開発に取り組んでもらうための活動などをお聞きします)

白河桃子
少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)

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