60歳からは好きなことで稼げ 中長期計画で手応え実感『定年後の稼ぎ力』著者に聞く

人事の知識と趣味の現代アート収集を掛け合わせたキャリアスキルで、美術大学教授に転身した宮津大輔さん (c) YAYOI KUSAMA
人事の知識と趣味の現代アート収集を掛け合わせたキャリアスキルで、美術大学教授に転身した宮津大輔さん (c) YAYOI KUSAMA

「定年」がどんどん延びている。つい数年前、「65歳」まで延びたかと思ったら、早くも「70歳」まで働く状況が広がる勢いだ。キャリアの折り返し地点を過ぎた40代、50代の現役中高年世代は、定年までにどのように「稼ぎ力」を身につけておくとよいのか。IT企業の人事部に勤めたサラリーマンで、現代アートコレクターという経歴を持つ宮津大輔氏は、「人生二刀流で生き抜く」というサバイバル・スキルを提唱する。現在、美術大学教授に転身した宮津氏がまとめた書籍『定年後の稼ぎ力 今すぐスタート! 「好き」から作る』(日経BP)には、そのスキルの身につけ方、生かし方が詰まっている。宮津氏に話を聞いた。

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「生涯現役」時代、50代はどうする?

――ようやく「60歳定年」のゴールが見えてきたと思ったら、「生涯働け」の大合唱。定年後のセカンドキャリア作りに戸惑う50代は多いのでは。

宮津 50代に入った頃、私はIT企業の人事部に勤めていて、シニア社員の活性化プロジェクトに携わっていました。そこでの議論を通して痛感したのは、会社は20代、30代の若手社員にはポテンシャル投資しますが、50代以降のキャリア開発に投資をする余裕はないということ。プロジェクトに50代で唯一参加していた私は、つくづく50代からのキャリアは自分で作るしかないと身に染みました。

『定年後の稼ぎ力 今すぐスタート! 「好き」から作る』(日経BP)

数年前のベストセラー『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)――100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)では、これからの人生は3ステージではなく、「マルチステージ設計が必要」と書かれていましたよね。50代の人は2ステージ終了間際、「さあ次はのんびり老後」と思ったのもつかの間、突然「マルチになれ」と言われているようなもの。崖っぷち感は切実です。

――60歳定年の後、定年延長や継続雇用に頼る手もありますが。

宮津 私の勤めていた会社はM&A(買収・合併)で何度も買収され、給料は下がり続け、気の合わない年下上司のもとで突然畑違いの仕事をやらされたことも。それはドン底の日々でした。これから企業の競争も激しくなり、M&Aもますます増える。役員まで上り詰めるような人は別として、50代以降の社員が居心地よく働ける環境を用意できる会社はますます減るでしょうね。

そんなところで、経験もプライドもある60代が、5年、10年と、責任もなくやりがいのない仕事を続けるのは、地獄で我慢しているようなものだと思いますよ。必要なのは、定年までに会社に頼らないもう1本の「稼ぐ力」を探しておくことなんです。

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