#日経イチグラ 北海道からのクイズに挑戦 Vol.3
「作問」の魅力
今回は北海道地区の第3弾。
「帯広柏葉クイズ研究会」「道南クイズサークル 臥Q山」「旭川東高校クイズ研究会」です。
帯広柏葉クイズ研究会からの問題
道南クイズサークル 臥Q山からの問題
旭川東高校クイズ研究会からの問題
作問へのコメントはこちら
帯広柏葉クイズ研究会へのコメント
<U22編集チーム>
母校の先輩であり、かつ好感度が高いとされている人物が正解ワードだけに、設問のテイストがとても穏やかで好ましいです。安住アナは殿堂入りを果たすほど広く知られており、ほどよい難易度になっています。
知名度の高い人物を扱う場合、プチ情報を積み上げていく構成もオススメです。例えば、2020東京オリンピック(延期が決定)の総合司会に他局がタレントを起用したのに対し、TBSは局アナの安住氏を起用したといった情報や、明治大学時代の恩師、齋藤孝氏と『話すチカラ』という書籍を共著で出していることなどですね。
さらに高校とのつながりを織り込むなら、国語科の教員を目指していた過去や、高校時代に打ち込んでいたことといった、本人のキャラクターを示すような情報を盛り込むと、さらに興味をそそる問題になっていきます。
このほか、番組名をそのままヒントワードに使う以外に、主な共演者の名前を使う方法もあります。出しゃばりすぎず、相手を立てながら、きっちり進行していく安住氏の仕事ぶりを示すうえで、「ビートたけしや久本雅美など、アクの強い相手を引き立てながら、巧みに番組を進めていく~」といった間接的ヒントを用意することもできます。
道南クイズサークル 臥Q山へのコメント
<徳久倫康>
地元ならではの「行ったことのあるひとが有利」な情報が盛り込まれており、早押しクイズの基本である「詳しいひとのほうが先に押せる」原則を守った一歩踏み込んだ構成になっています。前フリに「など」が連続しているなどちょっと情報過多で、どの文章がどこにかかっているのかわかりにくいところが難点ですが、まあそれはそれで店内ごちゃごちゃのラッキーピエロっぽいとも言えます。選者はオムライスが好きです。
<U22編集チーム>
「地域に根ざしたオンリーワンのクイズサークル」という目標をきれいに写し込んだ設問ですね。地域愛とサークル愛が響き合うかのような構成は、サークルの自己紹介を兼ねた設問として理想的です。
ラッキーピエロの各店舗がそれぞれの特色を出している点への着目は、まさに各店舗をよく知る地元在住者だからこそなせる技。それぞれが自由に楽しむというクイズの多様性への共感まで感じ取れそうです。
今回の設問を分析しますと、「内装」「メニュー」の2つの軸があります。「十字街銀座店のサンタクロースや、港北大前店のエルビス・プレスリー」は内装が個性的な点に着目しており、「餃子(ギョーザ)、ラーメン、オムライス」などは店舗ごとのメニューの独自性を紹介しています。軸を1つに絞ってより問題の印象を強めるという手もあるかもしれません。例えば、ハンバーガーを先に示したうえで、中華料理店「シルクロード」の流れをくんだ中華系メニューを説明していくといった方法です。
旭川東高校クイズ研究会へのコメント
<徳久倫康>
前振りのエピソードはかなり感心させられました。久慈次郎(クイズ的には都市対抗野球の敢闘賞に名を残すことでおなじみ)について予備知識があると、2人の意外なつながりに興味をひかれます。離れた銅像が呼応するイメージも美しいですし、文章としてもよく整理されています。ただ、スタルヒンのプレー期間は1936年から1955年までと長く、「戦時中に活躍」と限定してしまわないほうが、よいかと思います。
<廣海渉>
前振りは知らなかったです。単純に「へぇ~」ってなりました。素材がいいだけに問題文が気になりますね。1フリ目と2フリ目が独立の情報なのに「建てられており、」と関連があるような書き方がされているのに違和感があります。1フリ目は「函館市にある久慈次郎の銅像は、旭川市にある彼の銅像の投球に対してミットを構えている」ぐらいでいいのではないでしょうか。
<U22編集チーム>
「距離を隔ててバッテリーを組む銅像ペア」という着眼点が優れています。このような「遠距離でのキャッチボール」といえる構図のペア銅像は世界的にも珍しいのではないでしょうか。函館と旭川という2都市にまたがる形で、北海道色を印象づけています。弱いヒントから強いヒントへと、順序よく並べてあるので、気づきのタイミング次第で押しどころがばらける構成も十分に練られています。
設問の最大の意外性は、「距離を隔てて呼応する関係の銅像ペア」だと思うのですが、ここをもっとうまく生かす方法はありそうです。あくまで参考ですが、「北海道函館市にある『球聖久慈次郎の像』は、遠く離れた別の銅像と向き合う格好でミットを構えています。豪快な投球フォームが旭川市で銅像になっている、プロ野球シーズン最多勝の記録を今なお持ち続ける、往年の大選手は誰でしょう?」という形も考えられます。「1939年」「42勝」などの数値情報をあえて省いてしまい、ストーリー性を際立たせる建て付けです。
作問に対する考え方は様々です。コメントはあくまで、それぞれの立場からの見方を示したものです。問題と解答は原則、応募いただいた形のまま掲載しています。
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