人と会う機会が多いビジネスパーソンがエチケットとして気を付けたいのが、体臭・口臭といった臭い対策。自分では気付かなくても、臭いに敏感な人もいる。しかも、厄介なことに、洗浄やデオドラント剤では消せない臭いがあるようだ。それが「疲労臭」とも言われるアンモニア臭で、腸が関わっていることが分かってきた。気になる臭いと腸の関係、対策を紹介する。
体からの「染み出し臭」ケアは身だしなみ
中高年のビジネスパーソンが気にする加齢臭やミドル臭。これは皮脂に含まれるパルミトオレイン酸という脂質が皮膚表面で酸化したり、常在菌の働きで作られたジアセチルという成分が皮脂と混ざったりしてできるものだ。こういった臭いはこまめな入浴を心がけたり、専用の洗浄剤を使ったりすることで抑えることができる。
だが、体臭の原因は体の表面にとどまらない。キレイに洗っているから、デオドラント剤を使っているからと油断していると、自分では気づかない体の臭いを周りが気にすることもあるという。
「体臭には、皮膚表面で作られるもの以外に体の中から染み出てくる臭いもある。アルコールを大量にとったり、ニンニクを食べた翌日に体臭が強くなると感じたりすることがあるはず。これはアルコールの代謝過程でできるアセトアルデヒドや、ニンニクに含まれるアリシンが代謝した臭い成分がそのまま皮膚からガスとして出てくるから。また、ダイエットで糖質摂取量を極端に減らしているとアセトン(ケトン体)という甘酸っぱい臭いがし、タバコを大量に吸っているとニコチンが皮膚から漏れ出て臭う」と、皮膚ガスに詳しい東海大学理学部化学科の関根嘉香教授は説明する。
こういった染み出し臭は単に皮膚表面をキレイに洗っても、予防できるものではないという。「全身を流れる血液から少しずつ染み出るから。アルコールやニンニクの摂取を控えたり、適量の炭水化物をとったり、タバコを控えることが対策になる。これら以外に、染み出し臭の中でも、厄介なのがツンとする刺激臭を有するアンモニア臭。尿の臭い成分だ」と関根教授は語る。