新種の鳥続々発見 インドネシアの離島、狭まる生息地

日経ナショナル ジオグラフィック社

2020/1/31

聞いたことのない鳴き声

現地調査の際、ライント氏らの研究チームは、信頼性が立証済みの方法を活用して鳥を追跡した。鳴き声を頼るのだ。声を聞いてからようやく姿を見るまで、数日かかることもあった。

研究者たちが特に絶滅を危惧する種、タリアブセンニュウ(Locustella portenta)。山火事や森林伐採によって、生息地が数平方キロにまで縮小している可能性がある(PHOTOGRAPH BY JAMES EATON, BIRDTOUR ASIA)

ライント氏らがタリアブ島の山中を初めて歩いたときには、激しい雨に降られ、引き返そうかと考えた。「その時、センニュウという鳥の仲間に特徴的な、昆虫のような高い鳴き声が聞こえました。今まで聞いたことのないものでした」

その後、鳴き声の主を探してさらに数回山を登り、小さな茶色い鳥をようやく発見した。そして、その鳥はタリアブセンニュウ(Locustella portenta)と名付けられた。

研究チームは鳥の標本個体を採取し、研究室に戻ると、外見と解剖学的構造を注意深く記述した。新発見の鳥たちのDNAと鳴き声の録音データが解析された結果、これまでに知られているどんな種と比較しても、新しい種または亜種として命名するのに十分な違いがあると確認された。

ほかに行き場のない鳥たち

新発見の鳥たちは、いずれも今いる島以外には生息していないとみられる。したがって絶滅の危機に弱く、特に山火事や森林破壊で大きな打撃を受ける。論文の著者たちは、どちらもこれらの島で多発していると指摘する。

ライント氏が特に心配しているのが、前述のセンニュウだ。

「この鳥は高山の、低木の生えた狭い範囲でしか見つかっていません。山火事にきわめて弱いエリアです。気温が上がり、干ばつが増えれば、山火事の危険も高まります。そうなっても、この鳥が逃げ込めるような、さらに標高の高いところはないのです」

論文の共著者で、インドネシア科学院の生物学者、デビ・プラウィラディラガ氏は、「今回の発見を発表することが、この鳥たちと生息地の安全を守るのに役立つと希望を持つしかありません」と付け加えた。

インドネシア政府が、新発見の種と亜種を保護対象とすることを検討するよう、プラウィラディラガ氏は願っている。

(文 Tim Vernimmen、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年1月14日付]

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