「日本は何もしなかった」 女性活躍、法律は骨抜きWAN理事長・社会学者 上野千鶴子氏

2020/1/28

「他の国は強制力のあるクオータ制を導入して社会を変えてきました。過渡期に一時的にでも強制力のある制度を作ることは大きな意味がありますが、日本では『クオータ制は日本の風土に合わない』と否定的です」

「『日本の風土に合わない』という言葉が意味するのは『合理的な説明ができない』ということです。論理的に答えられないから質問をシャットアウトするために使うのです」

――この状況から脱するには何が必要でしょうか。

「家事や育児など女性が外で働くことを妨げている負担をアウトソーシングする必要があります」

――女性の側の抵抗も根強いのではありませんか。

「インフラが変われば、意識はあっという間に変わります。それを痛感したのは介護保険。導入時には『自宅に他人を入れるなんてとんでもない』と否定的でしたが、今はどうでしょう」

「育児を家事労働者に委託したら、3歳までは年に200万~300万円かかりそうです。年収の何割だったら普及すると思いますか。世帯年収の2割までなら機会費用を考えて利用するのではないでしょうか。そうなれば、『育児は母の手で』という人々の意識は簡単に変わるでしょう。北欧のように公共サービスにするか、米国のように市場化するか。日本は後者に舵(かじ)を切り始めています。実現には安い労働力の確保が必要ですし、階層格差が前提です」

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「風土」とはなにか ~取材を終えて~