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(3)薬は継続して使用する

~時々では効果は望めない

花粉飛散量は日々変化する。症状が落ち着いてきたと思っても、途中でやめずに続けることが肝心だ。シーズン中に薬を使ったり使わなかったりした人よりも、継続して服用した人の方が、初期療法の効果が高いというデータも出ている[注3]。そのメカニズムとして「薬を飲むのをやめて2、3日たつと、体内にはもう有効成分が残っていない。そこに花粉が入ってくれば症状がぶり返します。それから薬を再開しても、効き目が出るまでには数日かかってしまうことも。安定して軽い症状で抑えておくには継続が大事。市販薬の場合でも同様です」と後藤さんは説明する。

●薬はいつまで?

原則として花粉飛散が終了するまで。例年、スギ花粉は4月中、ヒノキ花粉は5月上旬まで飛散する。「スギ花粉症の6、7割はヒノキ花粉症も陽性である場合が多い」と後藤さん。特に重症な人では、ゴールデンウイーク明けぐらいまで続けよう。

(4)並行して日常ケアも行う

~マスク、鼻うがいなどが大事

予防策として、花粉の接触を避けるために手洗い、うがい、洗顔などを行う。メガネやマスクは正しく装着しよう。鼻に付着した花粉を洗い流す「鼻うがい」も効果的だが、誤ったやり方で鼻粘膜を傷めることも。必ず生理食塩水を使用し、正しいやり方で行う必要がある。

(5)目のかゆみにも初期療法は有効

~抗アレルギー点眼薬が基本

写真はイメージ=(c) PaylessImages-123RF

以上、鼻の症状を中心に解説してきたが、目の症状に関しても、初期療法が有効だ。東京女子医科大学眼科教授・高村悦子さんによると、症状発現時期、初期症状を調査した結果では、スギ花粉飛散開始日前に約60%の患者にすでに症状が認められることが報告されているという[注4]

「炎症が最小のうちに積極的に治療して『かゆくならない目』をつくることが初期療法の基本的な考え方。やるとやらないとでは、ピークとなる3月、4月のQOL(生活の質)に大きな差が出る可能性があります」と高村さんは話す。

目の症状に対する初期療法で押さえておきたいポイントは以下の通り。

●開始時期

花粉飛散開始の少し前(2020年であれば1月中)、またはその前であっても、11月ごろから、花粉は飛び始めているのでなんとなく症状が出たと思ったら眼科を受診する。花粉症シーズンに本格的に突入してしまう前に相談を。

●薬について

「目のアレルギー症状の治療では、眼科での処方薬が勧められる」と高村さん。花粉症の初期療法では、抗アレルギー点眼薬が選択され、花粉飛散ピーク時に、それだけでは症状が治まらなければステロイド点眼薬を併用するというのが、基本ルールだ。

「ステロイド点眼薬には、眼圧上昇という副作用があることから、長期に投与することは好ましくありません。そのためにも副作用がほとんどない抗アレルギー点眼薬による初期療法が勧められます。安全性の高い抗アレルギー点眼薬を、点眼回数を守り、継続して用いることが大切です」と高村さん。

抗アレルギー点眼薬には、ケミカルメディエーター遊離抑制薬やヒスタミンH1受容体拮抗薬があり、基本的にはどの抗アレルギー点眼薬を用いても初期療法の効果は得られるという。

「強いて言えば、インバースアゴニスト作用を有する抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体そのものを不活性化させることができるため、より効果的に炎症を封じ込めることができます。そして、その作用を有する薬剤がエピナスチン。点眼回数もほとんどの抗アレルギー点眼薬が1日4回なのに対して、0.1%エピナスチン点眼薬(商品名 アレジオンLX点眼液0.1%)は1日2回となっており、継続しやすいという利点があります。また、初期療法では点眼薬の使用が長期にわたるため、防腐剤が含まれていないものが好ましい。その点でも、エピナスチン点眼薬は勧められます」(高村さん)

新しい薬剤・治療法が登場すれば、初期療法の考え方も変わる。2020年は1月中か2月上旬までが初期療法を始めるベストタイミング。初めての人も、一度試して効果が感じられなかった人も、正しいやり方をきちんと理解した上で試してみてはどうだろう。

[注3]後藤穣 花粉症の理想的治療法「望まれる花粉症の初期療法」 臨床免疫・アレルギー科 2009.12;52(6):636-42.

[注4]芝山明博ほか アレルギー・免疫 2018;25:100-04.

(ライター 及川夕子、図版作成 増田真一)

後藤穣さん
日本医科大学耳鼻咽喉科学教室准教授。日本医科大学医学部卒業後、同大学耳鼻咽喉科学講師、同大学多摩永山病院病院教授などを経て現職。専門は、アレルギー性鼻炎、花粉症。日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医、日本アレルギー学会認定アレルギー指導医。
高村悦子さん
東京女子医科大学眼科教授。東京女子医科大学卒業後、同大学眼科講師、准教授を経て現職。専門は角結膜感染症、アレルギー性疾患など。同大学眼科にドライアイ外来を開設。日本眼科学会専門医・指導医、日本眼科アレルギー学会監事なども務める。

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