インフル、出社禁止なら手当が出る 休暇制度も要確認

2020/1/27
インフルエンザで出勤停止になったら知っておくべきこととは(写真はイメージ=PIXTA)

今年もインフルエンザの流行がピークを迎えています。インフルエンザにかかってしまったら、安静にするしかありませんが、本人ばかりか家族が罹患(りかん)した場合に、「出社を拒否された」あるいは「年次有給休暇を取らされた」といった声を時々聞くことがあります。職場での対応は様々なようですが、感染症ということで、会社が出社を拒んだり年次有給休暇を強制的に取得させたりすることは可能なのでしょうか。人事労務コンサルタントで社会保険労務士の佐佐木由美子氏が解説します。

インフルエンザの休業手当は平均賃金の60%以上

現在、中国・武漢市を中心に新型コロナウイルスが原因とみられる肺炎が拡大して不安が広がっています。世界規模では様々な感染症が猛威をふるっており、いつ新型の感染症が拡大するかわかりません。

日本国内では、法律において一定の伝染性の疾病については就業を禁止しています。感染症のまん延を防ぐために、就業制限を行う必要があるのは、新型インフルエンザや、特定鳥インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)など感染予防法の一類から三類感染症に指定されている危険性の高いもので、この時期によく見られる季節性インフルエンザは該当しません。

季節性インフルエンザの場合、従業員を強制的に休ませる法的根拠がないため、会社が出勤停止を命じる場合は、使用者の責めによるべき事由となって労働基準法第26条に基づく「休業手当」が発生するというのが原則的な考え方となります(法律で就業を禁止されている伝染性の疾病は対象外)。この休業手当は、平均賃金の60%以上(就業規則による定めがあればその額)となります。こうした対応もなく、一方的に出社を拒否して欠勤した日の給与を全額カットするのは極めて問題です。まして、本人ではなく家族が罹患したことを理由として出社を拒むことはできません。

一般的には、本人が体調を崩して仕事を休みたいと申し出るケースがほとんどです。こうした場合の欠勤を、本人が申請していないにもかかわらず、会社が勝手に年次有給休暇に振り替えて強制的に取得させられた、という話を聞くことがあります。これについては、どうでしょうか?

会社としては、本人によかれと思って、そうした処理をしている可能性も考えられますが、本人の意向も確認せず、強制的に取得させることはNGです。年次有給休暇は、あくまでも本人の請求に基づいて取得すべきものであって、インフルエンザの欠勤を強制的に年次有給休暇に振り替えることは認められません。

2019年4月から、年10日以上の年休がある従業員は5日以上取得することが義務化されたこともあり、会社としてはこの要件を満たすために、年次有給休暇を積極的に消化してもらいたいと考えています。そのため、欠勤があれば自動的に年休に振り替えて消化させる対応を取るケースもあるようなので、注意したいところでしょう。