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写真はイメージ=PIXTA

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あり得ないようなトラブルを巻き起こす「モンスター部下」が最近増えているという。相談をよく受ける社会保険労務士の石川弘子氏は、その実態と対処法を近著「モンスター部下」(日経プレミアシリーズ)にまとめた。石川氏が相談を受けたモンスター部下の実態を同書から紹介する。

<<(8)転職先でマウンティング 元大手の50代モンスター部下

D建材 概要
建設資材を専門に扱う創業50年の会社。従業員数は150名ほどで堅実な経営をしているが、時代の変化に対応するために新たな取引先の開拓を進めようとしている。
 
登場人物
Y中:営業部長で40代男性。会社から新規開拓を求められ、チーム一丸となって取り組むべく部下をまとめている。元上司のM上に頭が上がらない。
M上:D建材の元営業部長で、定年後に嘱託として勤務。職制上はY中の部下となるが、以前はY中の上司だったため、Y中を下に見ている。
S下:30代の営業社員でY中の部下。遅刻をしたり、提出物の期限を守らなかったりとルーズなところをY中からたびたび注意されている。M上とは喫煙所でよく話す間柄。
K藤:営業事務の20代女性。真面目で丁寧な仕事ぶりで、Y中の良きサポート役。正義感が強く、ルーズなS下や強引な営業をするM上をよく思っていない。

元上司が定年後、部下になって対立

「……というわけで、新規開拓に向けてまずは私が作成したリストに従って、各担当がアポ取りをお願いします」

営業部長であるY中が営業会議の場で、新規開拓についてその必要性や会社の方針、方法を述べると、リストを皆に渡した。すると、リストを見た嘱託社員のM上が不服を唱えた。

「Y中、なんで俺の担当がここなのよ? それにS下は経験が浅いのに、ここは無理なんじゃないの? ちゃんと考えて振り分けてるのか?」

(またか……)

Y中はうんざりした。嘱託社員であるM上は元上司とはいえ、現在は上司である自分に対しても、遠慮なく反発してくる。もちろん、聞き入れるべき意見であれば歓迎だが、ほとんどが単なるいちゃもんだ。

「私なりに考えて、専務に確認も取りましたので、リスト通りの担当でお願いします。S下の担当については、私もフォローしますので」

M上は納得いかない様子で、担当リストを眺めると、

「今どきの部長さんは、役員の言いなりだな。俺が部長だった頃は現場を見て仕事したもんだけどな」

とY中に嫌味を言うと、席を立った。

(全く、やりにくいな)

Y中は苦々しく思いながらも黙っていた。入社した頃から先輩であり、上司でもあったM上は、昔ながらの営業をする社員で得意先からの信頼も厚い。だが、得意先の担当者も世代交代をし始めると、M上が行っていた接待営業は若い担当者には通用しなくなってきた。ちょうどその頃に定年を迎えたM上は、部長職を退任し、嘱託として一営業マンに戻ったのだ。

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