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大ヒット「バスチー」 本場バスク地方ではバルの名物

バスク風チーズケーキの発祥店といわれる「ラ・ヴィーニャ」のチーズケーキ。バルのメニューらしく、大胆に皿に盛り付ける

さて、「バスチー」が日本のコンビニスイーツとして大旋風を巻き起こしているなか、19年夏に再訪したサン・セバスチャンの「バスク風チーズケーキ」事情はどうだったろうか。

「このタイプのチーズケーキを出している店が増えていた。そしてどこも人気で、売り切れが多い。ただ、現地の人に食べられているというよりも、旅行者に人気の商品だと感じた」

元祖「ラ・ヴィーニャ」のそれの味は変わらなかっただろうか。写真では皿に塗りつけるように盛られているが。

「どういうわけかこういう風に出してくる。味は、前よりも甘さを抑えていると感じた。お客の好みに合わせて変えてきているのだろうなと感じた」

ちなみに、「現地では『バスク風チーズケーキ』ではなく『サン・セバスチャン・チーズケーキ』と呼んでいる店が多かった」という。

ところで、小嶋さんはなぜ「バスク風チーズケーキ」ではなく「バル風チーズケーキ」という名にしたのか? それは、「バスク風」というよりも「ラ・ヴィーニャ」というバルの名物だと受け止めたからだったようだ。

サン・セバスチャンの「オタエリ」という店のチーズケーキ

「バスク地方のお菓子というと、いちばん有名なのはパステル・バスコというお菓子。でも、これは素朴な焼き菓子で、観光客の誰にも受けるものではないかもしれない。それに対して、今、美食の街として世界中から観光客が集まるなか、世界中の人に受ける新しいものとして、このチーズケーキは作られたのだと思う」

小嶋さんがそう感じる最大の理由は、その主たる材料による。「ヨーロッパのお菓子でクリームチーズをメインに使うものというのはほとんどない」からだ。

クリームチーズのブランドは米国産「フィラデルフィア」とフランス産「Kiri」が有名だが、後者は1966年の発売である一方、前者は1800年代の発売であり、「フィラデルフィア」陣営はクリームチーズは米国発祥と主張している。ヨーロッパに根付いていた食材というよりも、新世界から来た新しい食材に数えられそうだ。それをたっぷりと使う菓子は、「バスク風」というよりも「サン・セバスチャン風」に違いない。

サン・セバスチャンはバスク地方の都市というだけでなく、欧州文化首都に選定された文化行事の多い都市として世界から多くの人々が訪れる都市である。そしてミシュランガイドの星付きレストランが多い街としても知られる。そのような土地柄に、伝統的な食だけでなく、次々に新しい味覚も生み出され、世界の人を魅了し続ける風土があるのだろう。

「バスク風チーズケーキ」は、サン・セバスチャンの、そうしたコスモポリタンな新しい味覚を象徴するものなのかもしれない。

(香雪社 斎藤訓之)


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