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希望しない中高年にまで退職勧奨が広がりかねない(写真はイメージ)=PIXTA

希望しない中高年にまで退職勧奨が広がりかねない(写真はイメージ)=PIXTA

2018年以降、中高年を対象とした希望退職の流れが加速しています。東京商工リサーチの調査では、19年1~11月の上場企業の早期・希望退職者の募集が1万人を突破したと発表されました。20年以降も、業績好調な企業を中心に相次いで早期退職募集の実施が判明しており、この勢いは止まりそうにありません。40歳以上のホワイトカラーにとっては、転職希望の有無にかかわらず、向き合い方を考えなくてはならなくなってきました。

17年にニコンの希望退職1000人募集など、希望退職を公表した上場企業が5年ぶりに増加して以来、18年のNECによる希望退職募集の発表など大企業の希望退職実施は増加しており、19年5月にはトヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言したことがニュースになりました。19年に希望退職実施を公表した企業数は36社(11月末時点)と、2018年より増える傾向にあります。

「45歳リストラ」が一般化 前提の変化を見誤るな

今回のリストラで特徴的なことは、黒字であっても希望退職・早期退職に踏み切っている企業が多いことです。従来、労働組合の抵抗もあり、最後まで雇用維持を原則としてきた重厚長大産業の大企業のリストラ加速。それだけ大企業の構造改革の大車輪が、ついに本格的に回転し始めた状況と言っても過言ではありません。

日本の大企業にとって、政府が主導する70歳までの雇用延長は固定費負担を増大させるリスクとなっており、同時にIT(情報技術)やグローバルに強い優秀な若手人材の採用やリテンション(そのための若手・高付加価値人材向けの処遇づくり)も重要なテーマであるため、その原資を生み出すためにも、年功型の賃金制度の恩恵を受け続けてきた40代以上の年齢層のリストラがいよいよ待ったなしになった、ということだと思われます。

実際、早期退職を実施している大企業の多くは、AIやデータ解析、グローバルビジネス、新規事業領域などで若手専門職の中途採用を強化。従来の職能給制度の枠を超えた高額報酬を支払う事例も増えています。

この流れがさらに加速すると、「希望退職者の募集」にとどまらず、退職を希望しない中高年にも退職勧奨(またはそれに近い状況)が促進される事態が予想されます。希望退職者の募集の段階では、「私は定年まで辞めるつもりはない」と言ってスルーできていても、企業が本気で人材構成比を変えようと動き始めたら、もはや人ごとではなくなってしまいます。

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