米大統領が攻撃示唆 イランが誇る古代ペルシャの遺跡

2020/1/19
ナショナルジオグラフィック日本版

50万人以上が暮らすイランの古都ヤズド。独特な建造物が認められ、2017年にユネスコ世界遺産に指定された(PHOTOGRAPH BY RICHARD I'ANSON, GETTY IMAGES)

イランには世界的に重要なたくさんの史跡が存在しており、うち22カ所はユネスコ世界遺産に登録されている。古代の都に残る遺跡はかつての大帝国の威厳を保ち、当時の画期的な地下水道は今も砂漠の都市を潤し続け、イスラム教シーア派の聖地には何百万という人々が巡礼に訪れている。ユネスコは、イランの都市全体が普遍的な歴史的重要性を持つとしている。

先日、米国のトランプ大統領はツイッターでイランの文化遺産を攻撃すると警告した。その一連のツイートが文化遺産関係者から猛烈な批判を浴びている[注]

[注]トランプ大統領はその後、発言を取り下げている。

文化遺産の保護は、武力紛争の際の文化財の保護について定めた1954年ハーグ条約と、1972年の世界文化遺産および自然遺産の保護に関する条約で明文化されている。これらの条約には、米国もイランも調印している。

ダレイオス大王が築いた古代ペルシャの首都、ペルセポリスの遺跡に残されている2500年前の王宮の石柱(DEAGOSTINI/ GETTY IMAGES)

1954年ハーグ条約は、南北戦争の真っ只中にエイブラハム・リンカーンが署名して法律化された米国の文書がもとになっていると指摘する人も多い。この法律には、こう書かれている。「歴史的な芸術作品、書庫、科学的収蔵品、天体望遠鏡などの貴重な器具および医療施設は、たとえ包囲や爆撃の対象になっている城塞内にあったとしても、回避可能なあらゆる被害から守られなければならない」

イランで特に貴重な遺跡と言えるのは、古代ペルシャ帝国の中心地だったパサルガダエとペルセポリスだ。2000年以上を経た今でも、これらの遺跡からは壮大なビジョンと芸術性が感じられる。

ヤズドやシューシュタルという都市には、水の力を使って何千年も砂漠の都市に緑をもたらし続けてきた古代の職人たちの画期的な技術が残されている。

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