相手が振り向くと気持ちが冷める著述家、湯山玲子さん

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著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ!」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。
著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ!」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。

両想いになれません。私から片想いすることはあっても、相手が振り向いた途端、すうっと気持ちが冷めるのです。「ああ、この人も結局は私が願いさえすれば振り向いてしまうんだ」と、軽蔑や失望を感じることもあります。幼いころいじめられた経験からか「私を好きになる人なんているはずない」と自分を卑下しているのかもしれません。(東京都・10代・女性)

「両想い」という状態はどういうものなのか、はっきりさせておきましょう。出会った瞬間にビビッと来てふたりとも恋に落ちる、ということは理想ですが、実はこれはレアケース。どちらかがアプローチするうちに相手にも火がついて結果、両想いになる、というのが大半でしょう。「気持ちに応える」という言葉があるように、最初はそうでもなかったのにだんだんと好きになった、という場合が現実には大変多いのです。

さて、現在10代とまだ若い相談者氏のケースは、自分から好きになっておいて相手がその気になったら気持ちが冷める、というもの。ヘンと思うことなかれ。人間には手に入れてしまった途端、そのモノやコトに興味がなくなる、という性質があるのです。

そう、現実とはたいてい思い描いていた「夢」より色あせて見えるもの。言うまでもなく人生は「現実」の方にありますから、何かを実現したいなら、現実を前に必ず心にわき起こる幻滅、失望を飼いならさなければなりません。

「振り向いてくれた男性に冷たくしてしまう」という相談者氏は、もしかしたら、人から示された好意を受けとれずに壁をつくってしまう傾向があるのかも。

その真意はズバリ、傷つくことを恐れる保身。「今は私に優しいけど付き合ううちに私の欠点を攻撃してくる」とか、「自分も相手の嫌な部分を見いだし嫌いになる」などなど。傷つけられる前に自分から人を傷つけてしまう言動をする人がいますが、そんな困ったチャンと心根は同じ。

今は恋愛に限った話ですが、この考え方が身につくとまずいことになる。人は好意に応えてくれる相手を信頼し関係を深めようとしますが、その逆の人は良好な人間関係が作れません。目指すべきは「好意には応えるし、自分も好意を人に与え続ける」存在で、こういう人は男女問わず多くの人に好かれます。

人を好きになって相手の気持ちがこちらに寄り添ってきたら、押し寄せる失望に絡め取られず、現実的に彼と関わるなかで感じる喜びの貯金を殖やしていく。そんなイメージで「両想い」の状態をつくりあげていってください。

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[NIKKEIプラス1 2020年1月11日付]

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