途上国の貧困問題を解決 日本発マイクロ金融で挑む五常・アンド・カンパニー 慎泰俊社長

グループ会社のメンバーと(2019年8月、デリーで。前列左から3人目が慎氏)
グループ会社のメンバーと(2019年8月、デリーで。前列左から3人目が慎氏)

インドやスリランカなどアジアの新興国で貧困層向けの小口融資「マイクロファイナンス」を手がける五常・アンド・カンパニー(東京・渋谷)。社長の慎泰俊氏は「世界中の人々により良い金融サービスを提供したい」と語る。そんな慎氏はいかにして、マイクロファイナンスという生涯をかけて取り組むべきテーマを見つけたのか。人生を変えるテーマを見つけるヒントを聞いた。

◇  ◇  ◇

――マイクロファイナンスとの出合いは。

「大学院のファイナンス研究科に在籍しているときに知りました。コーポレートファイナンスについて書かれた分厚い専門書の付録でした。『マイクロファイナンスがなぜうまくいくのか』ということが、数理モデルを使って説明されていました。とても面白い内容で『こんなものがあるのか』と思いました」

「それより前に、米国の経済学者、ジェフリー・サックス氏の著書『貧困の終焉(しゅうえん)』を読んでいて、途上国の貧困などの問題に対して『何かしたい』と思っていました。でも、自分に何ができるかはわからない。そんな中で出合ったのがマイクロファイナンスでした。金融を専攻しているのですから、『できることがあるかもしれない』と考えたのです」

――大学院在学中にマイクロファイナンスのための認定NPO法人「Living in Peace(リビング・イン・ピース)」を立ち上げました。

「設立を考えたのは大学院の卒業が見えたタイミングでした。私は大学院に通いながら米金融大手、モルガン・スタンレーで働いていたので、とても忙しく毎日を過ごしていました。大学院に進んで1年半を経たとき、残りの半年は土曜日に1つ授業をとれば単位を取得できることがわかりました。『これまで大学院の講義や勉強に充てていた時間で、何か他のことができるな』と思いました」

日本初のマイクロファイナンスを決意

「そこで、以前から構想を温めていた日本初となるマイクロファイナンスのための団体を立ち上げようと決意したのです。2007年当時、世間には全く認知されていなかったクラウドファンディングを使って資金を募りました。1回あたり約5000万円の資金調達を8回ほど行い、合計で数億円を集めました。クラウドファンディングを活用したことで、マイクロファイナンスについて多くの人に知ってもらうことができました。また、私たちもいろいろな国のマイクロファイナンスの実情を知ることもできましたし、実際にマイクロファイナンスに取り組む多くの人たちと出会うことができました」

「こうして『自分の金融サービスを世界中に届けたい』『先進国で途上国支援に関わる人たちがマイクロファイナンスを必要としているのなら、自分たちで実現したい』と強く考えるようになり、2014年に五常・アンド・カンパニーを設立しました。こうした取り組みが評価されて、2018年には『ダボス会議』で知られる世界経済フォーラム(WEF)の『ヤング・グローバル・リーダー』に選出していただきました」

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