書店員がおすすめ 年末年始に読みたいビジネス書10冊

働き方や生き方考えるヒントに

八重洲ブックセンター本店・川原敏治さんのおすすめは『HAPPINESS』と『VUCA』

「実用的なビジネススキル、ビジネスに必要な教養といった方向から、働き方や生き方を考える本へと向かったのが今年のビジネス書の潮流だった」と、八重洲ブックセンター本店の川原敏治さんは振り返る。夏のおすすめをお願いしたときも同じ方向感を話していたが、そのためか19年後半刊行の本からスコット・ギャロウェイ『ニューヨーク大学人気講義 HAPPINESS(ハピネス)』(渡会圭子訳、東洋経済新報社)と柴田彰・岡部雅仁・加藤守和『VUCA 変化の時代を生き抜く7つの条件』(日本経済新聞出版社)の2冊を選んだ。いずれもキャリア戦略、人生戦略を説く。

『HAPPINESS』は本コラム11月の記事「格差広がる世界生きる人生戦略とは 経営学者の幸福論」で紹介した。シリアルアントレプレナー(連続起業家)であり、経営学者でもある著者の体験的キャリア論だが、「若いうちに学歴を手に入れ、都市に出よ」など現実的な指摘をする一方、「『最期の家』に投資せよ」「親を看取る9つの心得」など、残酷な現実を生き抜いて精神的充足を得るアドバイスも忘れない。

『VUCA』は世界最大の人材コンサルタント企業、コーン・フェリーのメンバー3人が著者となり、VUCA(ブーカ=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と言われる今のキャリア開発の地図を描き出す。NIKKEI STYLE ブックでは「若手リーダーに贈る教科書」のシリーズで「優秀な人ほど損する? 予測不能なVUCA時代の出世術」として紹介しているので、こちらの記事も参考にしてほしい。

一番売れたのは『FACTFULNESS』

リブロ汐留シオサイト店・三浦健さんのおすすめは『PRINCIPLES』と『FACTFULNESS』

リブロ汐留シオサイト店店長の三浦健さんが選んだ1冊も同じく生き方の指針を説く本だった。レイ・ダリオ『PRINCIPLES(プリンシプルズ)』(斎藤聖美訳、日本経済新聞出版社)で、世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者が自らを成功に導いた「人生と仕事の原則」を明かしている。「たくさん売れたというわけではないが、印象的な内容の本。人生や仕事のヒントになる言葉がつまっている」と三浦さんはおすすめの理由を話す。こちらも「若手リーダーに贈る教科書」の「ヘッジファンドのカリスマが実践 成功を呼び込む原則」の記事で紹介している。

もう1冊に選んだのは、今年のビジネス書人気を1年を通じて引っ張ったハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(上杉周作・関美和訳、日経BP)だ。「今年のビジネス書はなんといってもこの本。とにかくたくさん売った」と三浦さんは振り返る。NIKKEI STYLE ブックでは「ブックコラム」の欄で著者の一人、アンナ氏へのインタビューを掲載した(参考記事:「『FACTFULNESS』著者に聞く 世界を正しく見る習慣」「国際的ヒット本が教える 『世界はそんなに悪くない』」)。

1月に刊行され、直後からランキング1位に駆け上がり、1年を通してほぼベストテン圏外に落ちることがなかった。副題に「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」とあるとおり、「ドラマチックすぎる世界の見方」をしなくなる習慣を毎日の生活に取り入れるようにと説く。VUCAの時代にあっても、事実に基づく世界の見方がビジネスを含めた多くの行動の指針になる。読み逃しているようなら、この長い休みに手に取ってみるのもよさそうだ。

(水柿武志)

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