どれだけ知ってる? ナショジオで学ぶネズミトリビア
令和となって初めてのお正月はウキウキしますよね。今年の干支は「子」つまりネズミです。子年の景気や事件にまつわる話は、ほかで紹介されていると思うので、ここではナショジオが注目したネズミに関する興味深い記事を紹介しましょう。新年会のネタにでもお使いいただければ幸いです。
なぜ嫌われる?
人のあるところにネズミあり――ナショジオ2019年4月号の都市の大特集号で取り上げられた「都会のネズミたち」。この記事では、都会に棲むクマネズミやドブネズミに注目。いくら殺鼠剤を使っても駆除しきれない現実をレポートしています。
人が捨てる食料や農家の収穫物をあてにすれば食べるのに困らないことを学習したこれらのネズミが、時間をかけて原産のアジアから世界各地へと拡散するさまがわかります。
しかし、人間が被害者ではなく、加害者になるケースもありました。人が活動範囲を広げて航海をするようになると、ネズミがいなかった島にネズミを運び込んだことが原因で、在来種の海鳥の生息数が激減する事態を引き起こしています。
ネズミを悪者と考える理由のもう一つは、欧州の3分の1の人が死亡したとされる「黒死病」の媒介者というイメージが付きまとうからでしょう。ところが近年の研究で、感染の拡大を考えると、ネズミよりも人に寄生するノミやシラミが主な媒介者と考えるほうが自然という説が登場しています。ネズミばかりが悪者ではないようです。
人の役に立つネズミたち
ネズミは嫌いという人は多いと思いますが、今も様々な研究にネズミが使われ、ネズミのおかげで科学的知見を深めているのも事実です。
変わったところでは、ネズミにアルコールを投与して、その後の行動を見た研究があります。この研究が面白いのは、酩酊(めいてい)の度合いを調べたものではなく、アルコールによって雄ネズミの行動が変わるかを調べている点。
それによると、単独でアルコールを接種した雄は浮気をすることがわかりました。この結果が人間と同じかは、皆さんの想像にお任せします。
ネズミに関する研究をもう一つご紹介しましょう。一夫一婦制をとるプレーリーハタネズミ。夫婦が協力して子育てすることで知られています。このネズミはつがいになった結果、浮気をするようになるというのです。実はハタネズミは、つがいになるまで、仲間が雄か雌かの区別がつかないというのが理由というから驚きです。
生き残る術に長ける
恐竜が地球上から姿を消す白亜紀末の大量絶滅を生き長らえた哺乳類。我々の祖先は、ネズミのような歯をもつ夜行性の小さな生物だったと考えられています。現代のネズミも、生き残る力は大したものです。
米国の砂漠に生息するカンガルーネズミは、天敵の毒ヘビからジャンプして逃れますが、実際にはバネのような強靭な脚を使って空中でヘビを蹴ります。まるで忍者のような身のこなしです(19年後半の人気動画・写真記事にもランクインしました)。
そして現在確認されている標高6200mという世界で一番高い場所に棲む哺乳類もネズミでした。しかもこのネズミ、低地にも生息するネズミです。その活動範囲の広さは想像以上です。
私たちと同じ哺乳類であるネズミは、もちろん子どもへの愛情もたっぷりです。それを示すのがこの動画。わが子をヘビにさらわれた母ネズミが、猛然とヘビに挑みます。ヘビも母親の勢いに気おされたのか、くわえていた子ネズミを放り出し、ヘビだけに「ほうほうの体」で草むらへと逃げて行きました。母の愛を映像で確認ください。
ネズミが教えてくれる睡眠の秘密
ところで、寝正月でちょっと自己嫌悪気味という方がいるかもしれません。でも、そんなことはないとネズミが教えてくれました。寝るのは代謝の良さの表れなんです。
NIKKEI STYLEでも人気の睡眠連載を執筆いただいている三島和夫先生によれば、ゾウとネズミの睡眠を比べると、実際に長く眠っているのは意外にもネズミだといいます。これはゾウよりもネズミのほうが基礎代謝の割合が大きいため。たくさん寝ることでエネルギーを貯めこんでいるのですね。ということで、読者の皆さんも、もう少し寝正月を満喫したほうが、休み明けが快調なのかもしれませんね。
いかがだったでしょうか。今年もナショジオは、皆さんの好奇心を刺激する記事を提供していきます。改めまして、ネズミともども本年もナショナル ジオグラフィック日本版を、よろしくお願いいたします!
(文 編集部、日経ナショナル ジオグラフィック社)
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