中間管理職を再生できるか 強いリーダーに4つの条件識者に聞く(下) 早稲田大学ビジネススクール教授 川本裕子氏

早稲田大学ビジネススクール教授 川本裕子氏
早稲田大学ビジネススクール教授 川本裕子氏

経営者をはじめとする各界のトップがリーダーシップについて語る連載「私のリーダー論」。その言葉からはどんな時代が読み取れるのか。社外取締役などを通じて現場のリーダーやガバナンス(企業統治)を長く見てきた2人の識者に聞く。後編は早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)の川本裕子教授。

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――今の時代、求められるのはどのようなリーダーですか。

「時代は変化しますが、組織は人でできているという点は不変です。一人ひとりが持てる力を十分に発揮できる組織が最強です。さらにいえば、組織のメンバー各自がその会社のオーナーだと思うほど、ありったけの知恵とエネルギーを出し切り、頑張れる。そういう組織が強いのだと思います」

「組織での仕事の満足度についての国際的な比較調査では、日本の結果は非常に低いものです。満足度が低く、組織がうまく動かない理由のひとつが、中間管理職です。中間管理職がチャレンジ精神に満ちていればいいですが、保守的で動きが鈍い『粘土層』だとなかなか組織が動きません」

「つまり、一人ひとりが力を発揮できる組織にするためには、変化を好まない粘土層を動かすだけのメッセージや環境をつくれるリーダーの存在が非常に大事なのではないかと思います」

中間管理職層は既得権益層

――中間管理職の変革が必要というわけですね。

「経営者の多くは、イノベーションを社内に起こしたり、女性や外国籍の社員をもっと登用してダイバーシティー(多様性)を広げたりすることが、これからの企業の成長に大切だということを十分にわかっていると思います。ところが、粘土層の人たちはリーダーが呼びかけてもなかなか動かない。それは、彼らが既得権益層となっているからです。今までの組織の仕組みや働き方のほうが自分たちに都合がいいなら、わざわざ新しいことをしようとは思いませんよね」

「たとえば社内でのイノベーションを期待して、経営者が一部の若手を登用してチームをつくったりしますが、中間管理職の層が保守的なままだと、若手をいくら登用しても竜頭蛇尾に終わってしまいます」

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