「外見は颯爽、内面は凜」士気鼓舞した身だしなみ哲学西武ホールディングス社長 後藤高志氏(下)

「身だしなみは大切で、内面が反映されると考えます。自分自身についても常にそうであろうと意識しています」と話す後藤高志社長
「身だしなみは大切で、内面が反映されると考えます。自分自身についても常にそうであろうと意識しています」と話す後藤高志社長

後藤高志・西武ホールディングス社長のビジネス人生は波瀾(はらん)万丈だ。第一勧業銀行(現みずほ銀行)では、総会屋への利益供与事件の後に若手改革派の中心となって行内をリードした。有価証券報告書の虚偽記載問題で揺れる西武鉄道には経営改革委員の一人として乗り込み、西武ホールディングスを持ち株会社とする再編を断行、自ら社長に就き陣頭指揮で再上場を果たした。そのダイナミックな活躍の陰には「ビジネスパーソンは常に颯爽(さっそう)としていなければならぬ」という哲学があったという。




身だしなみは大切 内面が反映される

――職場における身なりのカジュアル化が予想以上に進んでいます。若い社員の服装にひと言、言いたいときはないですか。

「社会的な通念に反しなければブレーキをかけることはしません。若手に限らず、期待するのは(1)明るさ(2)執念(3)颯爽(4)侠気(おとこぎ)――の4つです。ファッション面に置き換えると、外見は颯爽としていて、内面は凜(りん)としたものを持っていることでしょうか。身だしなみは大切で、内面が反映されると考えます。自分自身についても常にそうであろうと意識しています」

――しかし第一勧銀の企画部副部長時代に起きた1997年の総会屋への利益供与事件では、身だしなみに気を遣う余裕がなかったのでは? 逮捕者が続出し、最終的に代表取締役全員が辞任してしまう事件で、後藤社長自身も株主総会の準備から捜査機関からの連絡対応まで担当し、一方で改革派「4人組」の中心として行内刷新をリードしました。

「逆にあの時期ほど、身だしなみに気を配った時期はありません。自宅に帰る余裕はなく、毎晩午前4時か5時に銀行本店を出て、ホテルで1、2時間ほど仮眠してからまた戻る毎日です。体重は6キログラム減りました」

「非常時だからこそ、髪が乱れ、よれよれのシャツを着たような身なりの姿は見せられません。身だしなみは士気に関わりますから、常に身ぎれいにしていました。家には帰れなかったので家族に協力してもらって週に2回程度下着から何から全部持ってきてもらっていました。ヒゲもきっちりとそり、清潔さにはとりわけ注意しました」

銀行時代には決めていた勝負ネクタイ

――その後は不良債権問題に取り組み、審査第4部部長として経営不振に悩む経営トップとも渡り合いました。追加融資を断らざるをえないときの身だしなみは?

後藤社長が愛用するネクタイ。中央のデザインは列車の車体。

「断るときのスーツは決めていませんでしたが、いわゆる勝負ネクタイは持っていましたね。ニューヨーク出張の際に購入した『カンタスマーラ』。黄色と青のストライプに赤も少し入っています。部下にはきょうは勝負ネクタイで来たな、何か大事な会議か交渉があるな、と分かります。現在は勝負ネクタイを決めてはいませんが、大切なときは紅色やピンクのタイを締めます」

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