装いの手本 トヨタ社長「洗練」資生堂社長「清潔感」国際ボディランゲージ協会 安積陽子代表理事に聞く

2019/12/20

ネイビーを基調に装い統一 正統派の服部セイコーHD会長

――正統派の代表格は誰でしょうか。

「セイコーホールディングスの服部真二会長です。TPOに合わせてスーツやネクタイ、チーフの付け方をいくつも変える経営者は多いでが、服部氏はいつでも変えることなくネイビーを基調に統一しています。少し高貴なイメージを付け加えるためネクタイをパープル調にする程度です。最近グローバル展開する企業のCEO(最高経営責任者)にこのスタイルが多くなっています。このスーツ、このネクタイに徹することで、自分をアイコン化して印象付ける狙いです。多様な国々の投資家や取引先に安定性と継続性を印象づけます」

安積さんが正統派の代表格として挙げるのはセイコーHDの服部真二会長

――昭和期の経営者で参考にすべき経営者はいますか。

「その装いから、海外で一目置かれていた日本人の一人として、パナソニック創業者の松下幸之助氏がいました。経営者が自分自身を「商品」「アイコン」と見たて実践した最初の経営者ではないかと考えています。松下氏はダークカラーのスーツ、シャツは白、黒縁メガネで一貫していました。色味も柄も抑えて謙虚さ、上品さ、少しばかりの色気を醸し出しました」

「松下氏も、もともとは見た目を気にするタイプではなかったようです。ある時『自分の顔を粗末にするのは商品を粗末にするのと同じ』と理髪店で指摘され、即座に改善に取り組んだといいます。一般的には同じスーツを続けるのは恥ずかしいと思いがちです。しかし誰が見ても評価の変わらないスタイルを追究するのは、信頼性のメッセージになります」

パナソニック創業者・松下幸之助氏は黒ぶちメガネとシックなスーツというスタイルを続けた

――あすから手っ取り早く実践できる国際基準の立ち居振る舞いはありませんか。

「握手です。日本人は握手が下手です。握手ひとつで相手にパーソナリティーを見られます。よく日本人はお辞儀しながら、無意識に相手の手を包むようにして握手しますがNGです。手の甲を見せながら握手するのは過度にへりくだっていると見られ、他意があるのかと疑われます。お辞儀と握手はひとつひとつを分けて行ってください」

「女性に握手するのも日本人は下手です。浅く握るのは気持ちが悪いと欧米の女性は感じます。強く握ると痛いかも知れないという気遣いや優しさから来ているのでしょうが相手に通じていません。女性に対しても、親指と人さし指の間にしっかり差し込んで力を入れて握手するのがお勧めです」

「欧米各国に中韓・タイを加えた調査で、身だしなみに一番お金と時間をかけていないのが40代以降の日本男性だという結果が以前ありました。百貨店もメンズ館で無い限り、男性のコスメ商品は地下1階など目立たないコーナーにありました。男性のお客が女性客の目を気にして恥ずかしい思いをしないようにとの配慮です。今はトレンドが変わってきています。銀座三越は1階に男性用コスメが堂々置いてあります」

「大切なのは横並びの平均的なスタイルではなく、一貫性を持った自分のスタイルを洗練させていくことです。欧米では相手からどう見えるかは、極めて重要なことと捉えられています。自分の装いや振る舞いを通して、自分がどういう人間かを、一瞬で伝えられるスキルを磨いていただきたいです」

(聞き手は松本治人)

安積陽子
米シカゴ市出身。ニューヨーク州立大イメージコンサルティング科卒。国際プロトコールの資格を取得しニューヨークでイメージコンサルティングを行なう。2016年に日本で国際ボディランゲージ協会を設立。 著書に「NYとワシントンのアメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服と仕草」「CLASS ACT(クラス・アクト)世界のビジネスエリートが必ず身につける『見た目』の教養」
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