「今年の一皿」はタピオカ、各地で長蛇の列 ぐるなび
「私は軟らかいものが大好き!現代は建築も都市も軟らかい方向に向かっている時代。軟らかいタピオカが選ばれてうれしく思います」
食をテーマにさまざまな調査・研究を行い、その成果や提言を幅広く発信するぐるなび総研は12月5日、2019年の世相を反映する食「今年の一皿」に「タピオカ」を選んだ。発表の壇上でこうスピーチしたのは、東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる「新国立競技場」などの設計者で世界的建築家の隈(くま)研吾さん。
タピオカの授賞理由は、日本中を席巻し社会現象化した点。「タピる」「タピ活」という言葉もはやるほど、老若男女がタピオカ店に長蛇の列をつくったり、SNS(交流サイト)上をにぎわしたりした。今年のタピオカブームは第3次と言われる。第1次は90年代前半ココナツミルクに加えたデザートで登場。第2次は08年ごろのタピオカミルクティー人気が引き金になった。
今回は、タピオカがカフェやデザートを提供する飲食店にとどまらず、さまざまな業態の飲食店でも提供され、スープやビールなどほかの食材との組み合わせの種類も多様で、甘さの調整などカスタマイズでき消費者の楽しみが広がったことが評価された。原料のキャッサバはグルテンを含まないため、グルテンフリー食材としても注目を集めた。
「今年の一皿」は2014年にスタートし、毎年その年を代表する料理を選定しており、今年で6回目となる。選定方法はぐるなび掲載店が発信する一次情報と、ぐるなび会員の閲覧履歴や行動履歴をビッグデータ化し、検索数や検索上昇率などから40ワードを抽出。それをぐるなび会員によるアンケート調査で30ワードに、さらにマスコミ関係者による審査で4つのノミネートワードにしぼるというもの。
今回しぼられたノミネートワードは、「タピオカ」「発酵食メニュー」「チーズグルメ」「スパイスカレー」だった。
準大賞は「発酵食メニュー」。納豆の市場規模が過去最高を記録(19年全国納豆協同組合連合会調べ)したこと、発酵食品や発酵調味料はうま味成分が豊富なために減塩効果も期待できることなどが挙げられた。
受賞は逃したが「チーズグルメ」は日本人のチーズ消費量が過去最高を記録(農水省「平成30年度チーズの需給表」)したこと、「スパイスカレー」は近年のスパイスブームの中でも特にスパイスカレーの台頭が際立ったことが評価された。
(フリーライター 芦部洋子)
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