「先延ばし」で痛恨の一撃 進むべき方向、すぐ決断ベネッセホールディングス社長 安達保氏(上)

ベネッセホールディングスの安達保社長
ベネッセホールディングスの安達保社長

通信教育から介護・保育まで幅広い事業を手がけるベネッセホールディングス。2014年に発覚した顧客情報漏洩事件の影響で、連結決算が2期連続の最終赤字となり社長が相次ぎ交代するなど経営が迷走したが、現在は売上高も回復傾向。主力の通信教育講座の会員数も持ち直した。立て直しの指揮を執る安達保社長は3年前、外資系投資ファンドの日本トップから転身したプロ経営者。現場と直接対話を重ねて進むべき方向を「すぐに決めて示すこと」がリーダーの役割だと語る。

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――経営者としてリーダーの条件は何だと考えていますか。

「私はベネッセという大きな組織を率いています。この組織がどういう方向に進むのか、そのビジョンを示すことが、リーダーとして一番重要な仕事だと思っています。それは会社組織だけでなく、チームやグループなど組織をリードする立場の人間は組織が何を目指しているのかを、きちんと示すことを求められると考えています」

「ただ、そうはいっても、誰もついてこなかったら意味がありません。方向性を示した上で、信頼されて『ついていこう』と皆に思ってもらうことが大切です。そう思われる人格であったり、価値観を持っていたりすること。それがリーダーとして重要なのでしょう」

――2016年に社外から社長として招かれました。戸惑いはありませんでしたか。

「実は私は03年から、ベネッセの社外取締役を断続的に務めてきました。都合10年以上務めたので、ベネッセのカルチャーというか、社員が大切に思っていることは大体分かっているつもりでした。ただ、社長を引き受けるにあたり、それをよりきちんと理解して、寄り添いながら方向性を示す必要があると考えました」

現場との対話で、会社の本当の姿が見えてくる

「最初に取り組んだのは社内の様々なレベルの社員と直接、話をして、毎週全員にメールを送ることでした。毎週、少人数で集まって自由に意見交換する『ラウンドテーブル』と呼ぶ会合を開きました。そして月曜日の朝一番に『おはようございます。先週はこういう人たちに会って、こう感じた。こんな刺激を受けました』とメールを送るのです。会社の目指すべき姿について、私の考えを理解してもらうだけでなく、社員のみんなが大切に思っていることを理解するために、こうした場を活用しました」

「主に30歳代から40歳代を中心に、普段は社長と直接会う機会がない現場の人たちと話をしました。部長職以上の、いわゆる会社のリポートラインに上がってこない現場から直接、仕事の課題や目標を聞くことで、会社の本当の姿が分かるのです。そこで気づいたことを、今度はリポートラインの人たちに、『こういう話を聞いたけれど、これをやってみたらどうか』とフィードバックするのです。頻度こそ落ちましたが、直接の対話は今も続けています」

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