共通項は「大阪のおばちゃん」?

時に関係がぎくしゃくする日中両国。相互理解を促すヒントについても本書に触れられていますので、最後に紹介します。日本で「親しみやすさ」の象徴とみられている大阪のおばちゃんが大好きだ、という中国人が多いというのです。大阪に住んだことのある中国人の声を紹介しましょう。

「大阪のボケとツッコミはいまだによくわからないので、どうリアクションしたらいいのか困るけれど、中高年女性の服装のセンスは中国人と通じるものがある(二〇代女性)
 さらに「大阪派」からはこんな意見も飛び出す。
「大阪は東京よりも食べ物が安くておいしい。家賃も安い。横断歩道を渡るときに平気で信号無視をするし、電車で見ず知らずの人に話しかける。まるで中国にいるみたい(笑)」(四〇代男性)
 「大阪のおばちゃんは、電車の中で他人に飴をあげますよね。最初この話は日本語学校の先生から授業のときに聞きました。ぜひ、自分も一度でいいから飴ちゃんをもらってみたいと思ったのですが、まだ一度ももらっていません(笑)」(二〇代女性)
(第4章 なぜ中国人は大阪派なのか――社会 157~158ページ)

辛口だけでなく楽しいエピソードも満載の本書を読めば、中国人に対して持っているイメージがかなり変わること間違いなしです。

◆編集者からのコメント 日本経済新聞出版社・雨宮百子

著者の中島さんの書籍を編集するのは、今作で3冊目です。17年に『なぜ中国人は財布を持たないのか』、18年には『日本の「中国人」社会』を出版しました。どの本も、編集しながら自分がいかに身近な隣人である中国人のことを知らなかったり、誤解したりしていたのかを思い知らされました。

中島さんの文章は目線があたたかく、また丁寧です。何度も現地に足を運ばれて、取材をしています。今回の書籍でも、驚きのエピソードが満載です。特に、今回は前作よりもより身近なネタが書かれているのが特徴です。日本の電車に感動する理由、「本当の始業時間」が分からなくて困る、「令和」の発表をなぜ心待ちにしたのか……。中国への印象が変わる1冊です。

一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。掲載は原則、隔週土曜日です。

中国人は見ている。 (日経プレミアシリーズ)

著者 : 中島 恵
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 935円 (税込み)