お笑いコンビのアインシュタイン 相方イジりで全国区
大阪・よしもと漫才劇場の"ブサイク芸人ランキング"で3年連続1位に選ばれる稲田直樹と、爽やかなイケメンの河井ゆずるによるコンビ・アインシュタイン。昨年は『NHK上方漫才コンテスト』で優勝するなど、実力派としてお笑いファンを中心に親しまれてきたが、今年に入ってから認知度がぐんぐん高まっている。
1月の『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)で、稲田が女装メイクにまつわるトークでMVS(Most Valuable すべらない話)に選ばれたのを皮切りに、2月にはCOOL JAPAN PARK OSAKAのこけら落とし公演『さんま・岡村の花の駐在さん』に出演。以降、全国区の番組にも呼ばれるようになり、7月には『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で稲田の特集が展開された。
ラジオで長年共演するケンドーコバヤシは、9月放送の『にけつッ!!』(読売テレビ)でゲストにアインシュタインを招いた際、客席から大歓声があがったのを受けて「2年前はまったく同じボリュームの単なる悲鳴やった」と振り返った。最近は貧乏育ちの河井にスポットが当たる機会も増え、コンビそろって充実期に入っている。
結成は2010年。共にNSC(吉本総合芸能学院)出身で、ピンで活動していた稲田から河井を誘う形で組むことに。「当時河井さんが働いていたバーで出会ってから、飲み会やバーベキューに連れていってもらうようになり『兄貴がこんなんやったらええのにな』って思っていたんです。それで、河井さんのコンビが解散したときに、2人きりのバーで『俺と組んでください!』と誘いました。でも断ってきたんですよ(笑)」と稲田は振り返る。
これに対して、河井は「前のコンビが解散したとき、ピンでやっていくと決めていたんで、中途半端な感じで組みたくなかったんです」と弁解。それでも、稲田の猛プッシュを受けてコンビを組むことになったのは「当時の劇場でトップだったのが銀シャリさんやジャルジャルさん。この世代の人たちと舞台上で絡まなかったらもうヤバいという危機感もあって。もっと前に出ていくためには、ピンのままだと難しいと感じた」(河井)からだという。
ライブやテレビで稲田の見た目をイジる際の2人のポリシーは「悲壮感漂う感じだったらやらない。やるんだったら上品に、みんなが笑えるように」(稲田)。テレビで引っ張りだこになった現在の心境をこう語る。「先日、滝沢カレンちゃんと共演したら、めちゃくちゃ面白かったんです。あんなかわいい子がこれだけオモロイこと言ってたら、俺らいらんやんっていう(笑)。なんとか全国区の番組で埋もれないようにしていかないと」(河井)「録画した番組を見返して、ウケたところはうれしくて何回も見ていて、それが活力になっています。でも、ああすればよかったと思うこともまだまだ多くて。少しずつ向上していきたいです」(稲田)
最も力を入れているのはネタ作り。「とにかくネタをずっとやっていきたい。何となくやってウケるとかではなくて、細かいところをちょっとずつ変えて、毎回精度を高めていきたいです」と稲田が語ると、河井も「もちろん『M-1』も狙っていますが、賞レースのためだけじゃなくて、いろんなところでお客さんに笑ってもらえるように磨きたい」と同調した。
漫才を軸に、これからますます大きな活躍を見せてくれそうだ。
(日経エンタテインメント!11月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2019年11月29日付]
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