2019/12/8
日本では2019年9月にデリバリーが開始された「テスラ・モデル3」。今回は、2基のモーターを搭載するパワフルな4WD車に試乗した

慣れるほどに面白い

試乗車の走行性能を紹介すると、動力系は前後に2つのモーターを配置する4WD。テスラは全モデルにおいてそのシステム出力を明示していないが、0-100km/h加速はなんと3.4秒! と、もはやガソリンターボのDセグ高性能セダンを上回るスペックを得ている。

しかし普段の走りには、この力を誇示するようなイケイケ感はまったくない。内外装のシンプルさと同じで、その身のこなしまでもが至ってクールなのは、ちょっとすてきだった。サスペンションは上級セダンの「モデルS」とは違い、エアサスではなくオーソドックスなスプリング&ダンパーの組み合わせだが、20インチのスポーツタイヤを履く割に乗り心地はフラット。そしてステアリングを切れば、思った以上にすなおにクルマが曲がる。

デュアルモーターの「モデル3パフォーマンス」が0-100km/h加速に要する時間は3.4秒。最高速は261km/hと公表される

その理由は、ピュアEV定番のアーキテクチャーによるもの。フロントにエンジンを積まないノーズの軽さや、バッテリーを床下に敷き詰める重心の低さが生み出す身のこなしだ。例えば「日産リーフ」はFFの従来型ガソリン車から乗り換えても違和感が出ないように、あえてそのハンドリングレスポンスをスローに取っているけれど、テスラ・モデル3は、このクルマならではの特性をまったく消そうとしていない。

だから最初は「曲がり過ぎる」と戸惑うほどだけれど、体がこの動きに慣れてくると自由自在になる感覚がグッと高まっていく。ハンドルを切ればすなおに曲がり、アクセルペダルを踏めばリニアにモーターパワーが立ち上がる。街中ではコンフォートモードを選んでおけば初期トルクは適度に絞られて、アクセルを不意に踏みこんでものけぞるようなこともない。慣れるほどに運転が面白くなり、クルマのキャラクターや特性を理解するほどに愛着のようなものが湧いてくるのはちょっと意外だった。

重量のかさむバッテリーパックをフロアにレイアウトする「モデル3」。この低重心化により、走行安定性を向上させる一方、横転リスクは低減させている

つくり慣れている感じがする

モデル3に好感を持つようになったのには、その走りだけでなくルックスも大きく関係している。正面から見るとちょっと怒り顔のようだが、見つめているうちに、カワウソのような愛嬌(あいきょう)がある表情がかわいらしく思えてくる。低く構えたノーズとは対照的にキャビンがぴょこんと盛り上がり、“チョロQ感”が強調されている。モデルSのような威圧感がないだけに、モデル3は身近に感じられるのである。

それでいてまともに走らせると、その走りは本格スポーツカー並みの運動性能を発揮するから面食らう。スポーツモードでそのパワーを解き放つ。怒濤(どとう)の加速でうなりを上げるのは、モーターの作動音やインバーターの高周波ノイズだ。ブレーキのタッチは回生ブレーキの影響でややダイレクト感に乏しいが、減速はきちんとできる。こうしたフィーリングは、あと10年もすれば普通になっていくのだろうか?

広々としたガラスルーフは「モデル3」の特徴のひとつ。特に、頭上からさらに後方までひとつながりになった後半部分が目を引く
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スタミナと操作には要注意
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